診療238日目、気をつけたい小中学生の貧血と鉄の不足
2023年5月13日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
世界各国で大きな健康問題の一つとされている貧血。
特に日本ではその対策が不十分で、貧血状態の子どもも少なくないと指摘されています。
子どもの貧血の原因や世界各国での貧血対策、保護者が気をつけたい貧血のサインについて、
「貧血大国・日本 放置されてきた国民病の原因と対策」の著者・山本佳奈さんに聞きました。

山本佳奈さん(やまもと・かな)1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。
よしのぶクリニック(鹿児島)医療コンサルタント、福島県立医科大学博士研究員、医療ガバナンス研究所研究員。
乳児期から貧血や鉄欠乏になるケースも
――貧血は子どももなるのでしょうか?
乳児期から貧血になることはあり、小中学生にも実は見られます。
貧血の原因として一般的なのは鉄不足で、「鉄欠乏性貧血」と呼びます。
鉄欠乏性貧血は乳児期・小児期の血液疾患の中で最も多いと言われており、
日本では小児の10~15%が軽度貧血であったという報告もあります。
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――貧血や鉄不足になると、どのような影響が出ますか?
実は、貧血であっても多くの人は無症状です。だからこそ気づきにくいのが難しい点です。
個人差がありますが、症状が現れる場合は脱力感や疲労感、集中力・学業成績・労働生産性の低下、
頭痛、動悸(どうき)、息切れ、などが見られます。また、髪の毛が抜けやすくなる、肌荒れ、
爪が割れやすい、といった美容面の症状も引き起こされることがあります。
貧血は、血液検査によって見つけることができます。しかし、コストなどの問題もあるのでしょうか。
学校の健康診断では血液検査はほとんど行われていないようです。
もちろん、「授業中に眠くなる」「部活動の成績が上がらない」といった理由で病院を受診する
子どもたちもいますが、本人や保護者が貧血を疑わない限り、さらに踏み込んで検査を希望するケースは少ないでしょう。

一方で、検査で貧血や鉄の不足が判明しても、治療を続けることができない人も少なくありません。
なぜなら、健康診断などの血液検査で貧血を指摘されても、自覚症状がないケースが多いためです。
その結果、治療の優先順位が下がり、「大したことはないから我慢しても大丈夫かな」と考えてしまい、
鉄剤の内服や通院を中断してしまいます。貧血や鉄欠乏の程度にもよりますが、数カ月の鉄剤の内服が
必要となることも、治療継続を困難にしてしまう要因の一つのようです。
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――子どもの貧血と鉄不足の原因は、どんなものがありますか?
不適切なダイエット、偏食や食生活の乱れ、急速な体の成長、月経(血液の喪失)、
過度な運動などが挙げられます。
不適切なダイエットは、特に大きな問題です。「スリムで魅力的な体形を維持しなければならない」という
社会的な風潮が高まり、食事摂取量を制限することで、鉄が不足してしまいます。日本では第2次世界大戦後、
女性の体重の減少が問題視されており、小中学生もその影響を受けている可能性が十分に考えられます。
また、運動が原因となって引き起こされる貧血「スポーツ貧血」があります。身体の成長に伴い筋肉量が増え
鉄の必要量が増えることや、急激な発汗によって鉄が失われること、鉄の摂取不足などが原因であると指摘されています。
特に剣道、バスケットボール、マラソン、サッカー、バレーボールといったスポーツでは、
足の裏や体に衝撃がかかることによって血液中の赤血球が破壊されてしまうことがあります。
これを溶血といい、溶血によって引き起こされる貧血も「スポーツ貧血」の一つです。
「タイムが伸びないから貧血かもしれない」と部活動のコーチに指摘されて、受診したという青少年もいます。
一方で、スポーツ貧血の存在を知らない方も多く、疲労感があっても「コンディション調整が足りない」、
競技成績が悪くても「自分の努力が足りない」などと考えていた、なんてことも少なくありません。
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身体の痛みやつらさは、ご本人しかわかりません。
共感はできてもお話を聞き、理解しようと寄り添うことしかできません。
だからこそ、身体からのサインを決して逃さないで頂きたいのです。
少しでも違和感がありましたら、専門医にご相談くださいね!







