診療503日目、バナナはいつ食べるといい?!
2024年5月31日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
突然ですが、みなさまバナナはお好きですか?
お恥ずかしい話ですが、ブログ担当は物心ついた頃から苦手でして。
コロナ禍を経て、「バナナ食べられた方が食事面が楽になるな!?」と
誠にズボラな理由から苦手を徐々に克服して今では普通に食べられています。
むしろ、お腹の調子の悪い時には積極的に取り入れています🍌
という私情モリモリのきっかけで本日はバナナです!
バナナはいつ食べるといい?!
「朝の果物は金。昼の果物は銀。夕の果物は銅」という格言があります。これは、同じ食品でも、朝が一番エネルギー消費の効率が良く、次に昼、続いて夕の順番であることに由来するとか。でもバナナは違います。栄養たっぷりのバナナは、朝、昼、夜、いつ食べてもいいことたっぷりなんです。
朝バナナ
私たちの脳はブドウ糖をエネルギー源としています。脳はエネルギーを多く使う組織のひとつで、体重の約2%程度の重量しかありませんが、安静時エネルギー消費量の約20%にあたる300kcalも消費しています。これはブドウ糖に換算すると75gにもなります。ブドウ糖はエネルギー源として重要ですが、体内に多く蓄えておくことができないため、毎食糖質をとることが必要です。バナナはブドウ糖をはじめ、さまざまな糖質が多く含まれており、寝ている間に失われたブドウ糖を補うのにぴったりです。仕事や勉強、運動に集中するためにも、朝食バナナで脳のエネルギー不足を解消しておきましょう。
脳のエネルギーがしっかり蓄えられていても、便秘や下痢でおなかの調子が悪いと気分もすっきりしないものです。バナナには、おなかの調子を整える食物繊維やマグネシウムも多く含まれています。食物繊維はバナナに含まれるオリゴ糖と一緒に腸内細菌の働きを助け、腸内環境を整えます。また、マグネシウムは腸の動きを活発にし、便通を促す働きがあります。朝食バナナでおなかも頭もすっきりして、元気よく1日を過ごしましょう。
昼バナナ
糖質は種類によって吸収されるスピードが異なるため、エネルギーになる時間に差があります。ブドウ糖や果糖は吸収が速く、ショ糖はブドウ糖や果糖より時間がかかりますが、でんぷんより速く吸収されるため、すばやくエネルギーにすることができます。でんぷんはゆっくり吸収されるため、あとからゆっくりエネルギーになります。バナナにはブドウ糖以外にも果糖やショ糖、でんぷんと様々な種類の糖質が含まれていることから、すばやくエネルギーチャージしたい時も、夕方までエネルギーをしっかり持続させたいときにもおすすめの果物です。
また、バナナには糖質をエネルギーに変換するビタミンB1が含まれています。ビタミンB1が不足すると糖質からエネルギーをつくることができず、だるさや疲労、食欲不振などの症状があらわれます。午後も集中したい、長時間の作業になりそう、というときには糖質+ビタミンB1が含まれるバナナを食べてもうひと頑張りしましょう。バナナは皮をむくだけでさっと食べられるので、忙しいときやちょっと小腹がすいたときにも手軽に食べられます。夕方、クラブ活動やスポーツジムに行く人、残業がある人のエネルギー補給にもおすすめです。
夜バナナ
ストレスや緊張が続くと、脳はセロトニンを分泌して心の安定や自律神経のバランスを整えます。セロトニンとは脳内の神経伝達物質のひとつで、必須アミノ酸のトリプトファンから合成されます。バナナにはセロトニンと、その材料となるトリプトファン、セロトニン生成を助けるビタミンB6や、抗ストレスホルモンの生成に関わるビタミンCも含まれているため、エネルギー補給だけでなくリラックス効果も期待できます。
セロトニンは夜になるとメラトニンを生成し、睡眠を促す働きもあります。質のよい睡眠は疲労回復だけでなく、成長ホルモンの分泌を促し、美肌や筋肉、骨づくりにも役立ちます。ビタミンB6はセロトニン生成だけでなく、肌や筋肉、骨などの材料になるたんぱく質の代謝にも関わっています。夕食で肉や魚などのたんぱく質をしっかりとり、バナナでビタミンB6を上手に取り入れて効率よくアンチエイジングしましょう。
また、寝ている時に足がつる人にもバナナが役立つかもしれません。バナナには筋肉の動きや神経伝達に関わるカリウムやマグネシウムが多く含まれています。足がつる原因はまだわからないことも多いのですが、試してみる価値はありそうです。
診療500日目、「日本人」にとっては「意味がない8つの健康法」その4
2024年5月27日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
実は・・・
忘れていた訳ではありませんが😭
5/19をもちまして開業して丸2年が経ちました👏👏👏
引き続き、日々粛々に邁進していきますのでよろしくお願い致します!
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では、おさらいからです!
ヨーグルトを食べて体調が悪化…じつは「日本人」にとっては「意味がない8つの健康法」
日本人には、日本人のための病気予防法がある! 同じ人間でも外見や言語が違うように、人種によって「体質」も異なります。そして、体質が違えば、病気のなりやすさや発症のしかたも変わることがわかってきています。欧米人と同じ健康法を取り入れても意味がなく、むしろ逆効果ということさえあるのです。見落とされがちだった「体の人種差」の視点から、日本人が病気にならないための方法を徹底解説!
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6 日本人が夏バテをおそれてしっかり食べれば太るだけ
日本人の基礎代謝には大きな特徴があります。基礎代謝量が季節によって変わり、それにつれて食欲が変動するのです。
日本人の基礎代謝量の1年間の変化を示しました。春から夏にかけて下がり、秋から冬に向けて上がっています。「天高く馬肥ゆる秋」の言葉どおり、冬になると日本人の基礎代謝量は夏より8%ほど上がり、食欲も高まります。寒い中で体温を維持するには、体内でエネルギーを大量に燃やす必要があるからです。
逆に、夏は暑いのでエネルギーを燃やす必要がありません。そのため基礎代謝が1年で最も低くなり、これにともなって食欲が減って、活動量も自然に下がります。夏になると「夏バテを防ぐために、しっかり栄養を取りましょう」とよく耳にしますが、基礎代謝が下がっているのにカロリーの高いものを食べたら太るだけです。
それに夏バテになるのは、暑さで食が進まず、体力が落ちるからではありません。暑い屋外と冷房が効いた屋内の温度差による自律神経の乱れや、寝苦しさによる睡眠不足、高温多湿による発汗の異常などが重なって起きてくるので、食べて防げるものではないのです。
夏は食が細くなるのが自然です。体にたくわえられないビタミンやミネラルの摂取にさえ気をつけていれば、神経質になって無理に食べる必要はないでしょう。
欧米人など肉食中心の人種は、肉に含まれる蛋白質が起こす「DIT反応」、別名「食事誘発性熱産生」により、体内で活発に熱を産生しています。そのため夏でも基礎代謝があまり下がらず、非常に暑がります。
欧米の夏が日本の夏のように蒸し暑かったら、彼らはとても耐えられないでしょう。体温も違い、日本では体温が37℃以上になると熱があると言いますが、米国では38℃以上。人の体は、暮らす環境に適応しながらできてきたということです。
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7 日本人の便秘予防、食物繊維を摂取するだけでは不十分
便秘は不快な症状を起こすだけでなく、便に含まれる有害な物質が腸に長くとどまることで大腸がんの発症率が上がると言われてきました。しかし、日本で7年にわたって実施されたコホート研究から得られた結果をもとに、厚生労働省が、「お通じが毎日ある人も、週に2~3回しかない人も、大腸がんの発症率は変わらない」と発表しています。
排便のリズムは個人差が大きいので、はっきりした便秘の定義は存在しません。日本内科学会は、「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」を便秘と呼んでいますが、このうち、とくに大切なのが残便感があるかないかです。たとえ週に1回しかお通じがなくても、すっきり出るのであれば心配ないことが多いものです。
それでも便秘が気になるなら、どうすればよいでしょう。食物繊維の摂取不足が便秘を招くのは事実で、米国疾病予防管理センター(CDC)も、便秘に関するガイドラインで食物繊維と水分を十分摂取するようすすめています。
日本人1人1日あたりの食物繊維摂取量は、60年前の3分の2まで減りました。食物繊維を多く含む穀物、たとえば玄米や雑穀をあまり食べなくなったのがおもな原因です。
食物繊維の摂取を少しでも増やす努力が必要なのは言うまでもありませんが、日本人の便秘には、もう一つ、隠れた原因があります。脂肪の取り過ぎです。
食べた物が便になるまでの時間は、日本人は平均1日半と言われています。といっても、消化に良いものを食べれば1日もかからずに体内を通過しますし、逆に消化に悪いものを食べると3~4日かかることもあります。食事の内容によって大きく変わるのです。
日本人は伝統的に炭水化物中心の食生活を送ってきたので、脂肪や蛋白質が豊富な動物性食品を消化、吸収する能力が低く、たとえば胃酸の分泌量は欧米人の半分程度しかありません。そのため、肉、肉製品、揚げ物、乳脂肪を多く含むケーキやクリーム、ナッツ類、チョコレート、スナック菓子などは消化に時間がかかり、便通が遅れる原因になります。便秘が気になる人は動物性食品の摂取をひかえてください。水分をしっかり取り、規則正しく食事をすることも大切です。
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8 日本人はお茶やコーヒーで情緒不安定になる?
緑茶、ウーロン茶、プーアル茶、さらには紅茶まで、お茶の仲間には、カテキン、カフェイン、ビタミンC、ポリフェノールなど、健康に役立つさまざまな成分が含まれています。ダイエットに効くと聞いて、積極的に飲んでいる人もいるでしょう。
ただし、入っている有効成分はごく微量なうえに、飲むだけでコレステロールの数値や血糖値が改善するとは、ちょっと考えられません。カフェインには利尿作用があるので、水分の排泄が増えて体重は減りますが、減るのは水分だけです。脂肪が落ちるわけではありません。
このカフェインも日本人とは相性が良くないのです。大事な仕事の前に栄養ドリンクをぐっと飲む。仕事が終われば「やれやれ、ようやく終わったな」と温かい湯吞みに手を伸ばす。カフェインは日常生活にすっかり溶けこんでいます。脳の神経を興奮させることで集中力が高まり、疲労を消す効果があるからです。
その一方で、摂取し過ぎると、頭痛、不安、抑うつ、不眠、嘔吐、下痢などを起こすことも知られており、欧州食品安全機関(EFSA)など、いくつかの国と地域が、カフェインを安全に摂取できる1日あたりの最大量を定めています。しかし、カフェインが体に与える影響は個人差が大きく、基準以内の量であっても症状が出る人もいます。
近年になって、この個人差に関連する遺伝子が見つかり始めました。そのなかの一つにはいくつかタイプがあって、どのタイプの遺伝子を持つかで、カフェインで頭がすっきりして気分が良くなるか、逆に不安が高まるかが決まります。日本人を含むアジア人は、カフェインで不快な症状が起きやすいタイプの遺伝子を持つ人が半数にのぼり、とくに日本人の4人に1人は、カフェインを150mg摂取するだけで不安定な気持ちになるという報告があります。
カフェイン150mgというと、玉露1杯、コーヒー1杯に含まれる量です。缶コーヒー1本にもほぼ同じ量が入っていますし、紅茶やウーロン茶も500mlのペットボトルで飲むと、同じくらい摂取することになります。
これに対して、欧米白人やアフリカ系の人、そして同じアジア人でも中国人は、カフェインが合わない人は少数派です。欧米人がコーヒーを、中国人がお茶をおいしそうに飲む映像は、映画やドラマ、広告でよく使われますが、日本人とは体が違うのです。
カフェインは強い作用を持ち、かつては薬として用いられていました。あくまでも嗜好品なのですから、合わないと思ったら、ひかえるのが賢明です。
さて、ここまで読んで、体質が違えば、同じ健康法が毒にも薬にもなることがおわかりいただけたと思います。しかし、問題は健康法にとどまりません。高齢化が進む中で、さらに増えると予測されている生活習慣病、そして日本人の死因第1位を占める、がん。これらの重要な病気についても、欧米で確立された予防法と治療法が日本人には必ずしもあてはまらないことがわかってきました。
さらに連載記事<「胃がん」や「大腸がん」を追い抜き、いま「日本人」のあいだで発生率が急上昇している「がんの種類」>では、日本人の体質とがんの関係について、詳しく解説しています。
本記事の抜粋元『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防』(講談社ブルーバックス)では、見落とされがちだった「体の人種差」の視点から、日本人が病気にならないための方法をさらに詳しく徹底解説しています。
診療495日目、食事に迷ったら「まごわやさしい」を思い出して
2024年5月20日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
最近院内で話題に出る「まごわやさしい」
干支や英語の月の名前、元素記号など、一文でまとめて覚えていて、
(あれ、そういえばその中の一つはなんだっけ・・・?)と
抜けてしまうことありませんか。
私にとっての抜けは「まごわやさしい」の「や」だったので、まとめてみようと思います!
改めて、みなさんは「まごわやさしい」という言葉をご存知ですか?
実はこの7文字は、「取り入れることで健康的な食生活を送ることができる食材の頭文字」を語呂合わせにしたもの。
飽食で健康的な食生活を見逃しがちな現代の食生活に推奨されるのがこの「まごわやさしい」という合言葉なのです。
今回はこの「まごわやさしい」について詳しく解説します。
「まごわやさしい」とは、栄養バランスを整えるために食事に取り入れたい、7つの食材の頭文字から成る言葉です。
具体的には、「ま」はまめ類、「ご」はごまなどの種実類、「わ」はわかめなどの海藻類、「や」は野菜、
「さ」は魚・海老などの魚介類、「し」はしいたけなどのきのこ類、「い」はいも類を指しています。
「まごわやさしい」のそれぞれの⾷材の特徴って?
「まごわやさしい」の各食材には、それぞれ特徴があります。ここで、各食材の具体的な特徴や含まれている栄養素について見ていきましょう。
・「ま」=まめ類
「ま」は大豆や小豆などのまめ類や、豆腐や納豆などの大豆加工品のことを言います。代表的な大豆には、たんぱく質やカリウム、マグネシウムなどが含まれています(注2)。
豆腐や納豆など、すぐに食べられるものを利用すると食事の準備が楽になります。みそ汁や豆乳を取り入れるのもおすすめです。
・「ご」=ごまなどの種実類
「ご」はごまやピーナッツ、アーモンド、ぎんなん、栗などのことを言います。ごまやアーモンドには、たんぱく質、食物繊維、カルシウムが豊富です(注2) 。さらに、黒ごまには抗酸化物質であるアントシアニン、アーモンドにはビタミンEが含まれています(注2,3) 。
ごまは、ご飯や汁物、サラダにトッピングすると、料理にアクセントを与え、見た目も華やかになります。
・「わ」=わかめなどの海藻類
「わ」はわかめ、ひじき、のりなどのことを言います。わかめやひじきはカリウム、カルシウム、食物繊維が豊富です(注2)。
のりをご飯に巻いたり、わかめやひじきを汁物やサラダに加えたり、手軽に料理に活用できます。
・「や」=野菜
「や」はにんじんやほうれん草などの緑黄色野菜や白菜やきゅうりなどの淡色野菜など、野菜全般のことを言います。
にんじんやほうれん草にはビタミンAが多く含まれ、白菜には葉酸やビタミンCなどが含まれています(注2)。1日の野菜摂取目安は350gで、そのうち緑黄色野菜を120g、淡色野菜・いも・きのこを230g摂取することが理想的とされています(注4)。
ほうれん草や白菜などの葉物野菜は蒸す・煮る・炒めるなどの加熱調理によって、かさが減るので、量を摂りたいときにおすすめです。
・「さ」=魚
「さ」はカツオやいわし、さんまなどの魚のほか、貝類や海老など、魚介類のことを言います。
魚介類はたんぱく質の重要な供給源で、特にいわしやさばなどの青魚には食事から摂取する必要があるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)を含んでいます(注3)。
しらすやししゃもなどの骨ごと食べられる小魚は手軽にカルシウムが摂れるのでおすすめです(注3)。
・「し」=しいたけなどのきのこ類
「し」はしいたけ、ぶなしめじ、えりんぎなどの「きのこ類」のことを言います。
しいたけは食物繊維が豊富で、加熱してもボリュームが減りにくいのが特徴です。ぶなしめじやえりんぎも低カロリーで、満足感のある食事づくりに役立ちます(注2)。
香りと食感がよく、和食から洋食、中華料理まで、さまざまな料理に適しています。
・「い」=いも類
「い」は、じゃがいも、さつまいも、里いも、山いもなどの「いも類」を指します。これらは炭水化物の大切な供給源です(注2)。
とろろ、サラダ、和え物、煮物、揚げ物など、幅広い料理に利用できます。
いかがでしたか?
「まごわやさしい」を意識することで普段の食材選びや献立にも変化があるかもしれません。今回ご紹介した「まごわやさしい」食材をたっぷりと使ったメニューを日々の献立に取り入れて、和食の魅力を再確認するきっかけになれば嬉しいです。
診療494日目、「日本人」にとっては「意味がない8つの健康法」その3
2024年5月17日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
前回の続きに戻ります!
まずはおさらいから。
日本人には、日本人のための病気予防法がある! 同じ人間でも外見や言語が違うように、人種によって「体質」も異なります。そして、体質が違えば、病気のなりやすさや発症のしかたも変わることがわかってきています。欧米人と同じ健康法を取り入れても意味がなく、むしろ逆効果ということさえあるのです。見落とされがちだった「体の人種差」の視点から、日本人が病気にならないための方法を徹底解説します!
日本人、こんな健康法は意味がない
4 日本人が赤ワインを飲んでも害のほうが多い?
以前、赤ワインが動脈硬化を防ぐと話題になりました。フランス人は肉やバターなど動物性脂肪を多く取っているのに、狭心症や心筋梗塞などの心臓病による死亡率が欧州で一番低いというデータがあります。それは赤ワインに含まれるポリフェノールという物質が悪玉LDLの酸化をさまたげ、動脈硬化を起きにくくするからだというのです。これを聞いて、日本でも、ちょっとした赤ワインブームが起こりました。
じつは、日本は心臓病の発症率が世界で最も低い国の一つで、死亡率もフランスより下なのです。心臓病の予防を目的にわざわざ赤ワインを飲むのは、「隣の芝生は青い」そのものです。
それにポリフェノールは赤ワインにだけ含まれているわけではありません。果物で言うと、ブドウよりブルーベリー、スモモ、イチゴに多く含まれ、コーヒーにも赤ワインと同じくらい入っています。これ以外にも、ニンジン、ホウレンソウなどの緑黄色野菜、大豆、ゴマ、ニンニク、ナッツ類、海藻、魚、緑茶など、身近な食物にいくらでも入っており、好き嫌いなく食べていれば十分摂取できるはずなのです。
それより問題なのはアルコールの害です。世界保健機関(WHO)の2014年の統計によると、純粋なアルコールに換算した1人あたりのアルコール消費量は、フランスを1とすると米国が0・77、日本は0・66です。飲酒は肝臓の負担になるだけでなく、アルコールそのものに発がん性があるからか、フランスは肝臓がんの死亡率が他の欧米諸国の2~3倍高く、男性に限ると米国の5倍にのぼります。
しかし、アルコールによる発がんの問題は欧米人より日本人のほうが深刻です。
日本人の約半数はアルコールを肝臓で分解する酵素の働きが生まれつき弱く、こういう人は飲酒によって、食道や大腸、肝臓などのがんを発症しやすいことが知られています。たとえば、食道と、のど(咽頭、喉頭)のがんを合わせると、日本酒にして1日1・5合以上飲む人は、まったく飲まない人とくらべて発症率が8倍になり、1日2合以上飲む人は50倍以上高くなります。日本酒1合は、ビールなら中びん1本、焼酎なら0・6合、ワイン4分の1本、缶チューハイ1・5缶に相当します。これに対して、欧米白人には、この酵素の働きが弱い人はいません。日本人はアルコールに弱い民族なのです。
お酒は嗜む程度が良さそうですね。参考までに
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5 日本人がヨーグルトを毎日食べると食物アレルギーを発症することも
食物アレルギーにはいくつか種類があり、そのうち最も多い即時型と言われるタイプでは、卵、牛乳、小麦、エビ、カニ、そばなどを食べた直後に蕁麻疹や呼吸困難、腹痛などがあらわれます。そのため診断がつきやすく、原因食物もすぐわかります。
これとは別に遅延型と呼ばれるタイプがあり、こちらは免疫細胞が活性化するのに時間がかかるので、原因食物を食べて数時間から数日たってから症状が出現します。その症状も、頭痛、発疹、疲労感、めまい、抑うつ、下痢、肌荒れなど多彩なことから、診断が難しく、疲れやストレスのせいと勘違いしたまま、症状に苦しむ人が少なくありません。
ヨーグルトなどの乳製品が原因になりやすいとされ、頻繁に食べると発症率が上がりますが、皮肉なことに、食べている人は体に良いと信じているので、ヨーグルトのせいで体調が悪くなっていることになかなか気づきません。
では、そこまでして腸内環境の改善につとめる必要はあるのでしょうか? 日本の研究グループが、日本を含む世界12ヵ国の人の腸内細菌を比較しました。すると、細菌の種類が国ごとに大きく異なり、日本人の腸内細菌は体に有益な機能を持つものが多いことがわかりました。外国人とくらべてビフィズス菌をはじめとする善玉菌が多く、悪玉菌が少なかったのです。
先ほどの牛乳にしろ、ヨーグルトにしろ、乳製品は健康に良いという考え方は欧米から入ってきたものです。体調の変化に気を配ることで、合う、合わないを自分で判断したいものです。
診療493日目、「日本人」にとっては「意味がない8つの健康法」その2
2024年5月14日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
昨日、営業にいらっしゃた方に教えていただいて、
院内でひと笑い起きましたが、
どうやらこちらのブログたまーにバズっていたようです🐝
(体感温度は変わらないのですが)
しかもバズりワードが固定しておりまして、
犬 うんち とのこと。
なるほど、ブログ担当者がその時気になったことやニュースに上がって
気になった(歯科から離れていること)がバズっていたと・・・。
書き手・話題の選び手としては、多少遠かろうが歯と口と関係している話題を選んでいるつもりです☺️
解析って面白いな〜と感心しつつ、
引き続きブログもこのペースで進めていきたいと思います!
では前置きが長くなりましたが、昨日の続きに戻ります!
まずはおさらいから。
日本人には、日本人のための病気予防法がある! 同じ人間でも外見や言語が違うように、人種によって「体質」も異なります。そして、体質が違えば、病気のなりやすさや発症のしかたも変わることがわかってきています。欧米人と同じ健康法を取り入れても意味がなく、むしろ逆効果ということさえあるのです。見落とされがちだった「体の人種差」の視点から、日本人が病気にならないための方法を徹底解説します!
2 日本人はオリーブ油を使い過ぎると生活習慣病に
7ヵ国が参加した大規模なコホート研究から、地中海沿岸地域は心臓病による死亡率が低いことが明らかになりました。この研究をきっかけに、この地域で暮らす人々が伝統的に摂取してきたオリーブ油の健康効果に注目が集まっています。
オリーブ油には、動脈硬化を促すリノール酸がごく少量しか入っておらず、代わりにオレイン酸が豊富です。その後おこなわれた研究で、このオレイン酸が心臓病の発生をおさえるらしいとわかり、この説を裏づけるデータが次々に発表されました。また、オリーブ油には、コレステロールの合成を高めない不飽和脂肪酸が多く含まれています。脂肪には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がさまざまな割合で入っており、オリーブ油やサフラワー(紅花)油などの植物性油は不飽和脂肪酸が90%近くを占めます。マーガリンは77%、バターは逆にコレステロールの合成を高める飽和脂肪酸が70%です。こうしてオリーブ油はヘルシーというイメージが生まれ、いまやダイエットや便秘解消に効くとしてオリーブ油を飲むようすすめる人がいるほどです。
しかしながら、これらの成分も、すでに体内にある悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を減らすほどの効果はありません。また、いくらオリーブ油でも、大量に使えば、かえって心臓病の発症率が上がります。なぜかわかりますか? それは、油が脂肪そのものだからです。オリーブ油であろうが、ゴマ油であろうが、大豆油、コーン油、アマニ油、なんであれ、油はすべて大さじ1杯で約110kcalあります。日本人は欧米人とくらべて内臓脂肪がつきやすいので、脂肪を摂取すれば、すぐ体について、血糖値が上がり、血圧が上がり、動脈硬化が進みます。心臓病も増えるでしょう。
オリーブ油の健康効果を示す文献はいくつも出ていますが、摂取すればするほど良いわけではないので気をつけてください。動脈硬化を防ぐには油そのものの使用をひかえるのが第一です。さらに言うと、オレイン酸は肝臓で合成できるので、意識して摂取しなくても健康がそこなわれることはありません。
そもそも、地中海沿岸地域の食事に注目が集まるきっかけになった論文は、心臓病の発症率が低い国として日本と地中海諸国をあげていました。研究者らは論文の中で、「日本は(心筋梗塞などによる)冠動脈死が少なすぎて、患者の発症年齢、コレステロール値、血圧、喫煙歴について評価することができなかった」と述べています。
しかし、和食は一般的な欧米の食事とまったく異なることから参考にするのが難しく、欧米ではもっぱら地中海食について研究が進められたという経緯があります。日本人が心臓病を防ぐために、わざわざ地中海食を取り入れるのは見当はずれということです。
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3 牛乳って必要?
日本人の骨粗鬆症発症率は米国白人の半分
骨粗鬆症を原因とする高齢者の骨折は、長期臥床、いわゆる寝たきりを招くことから、骨を強くするためにカルシウムを十分摂取すべきと考えられています。しかし、骨粗鬆症の原因はカルシウム不足だけではありません。
じつは、骨粗鬆症は遺伝的素因が大きく、カルシウムとビタミンDの作用、女性ホルモンの作用、骨の合成、動脈硬化などに関連する数多くの遺伝子が、骨粗鬆症の発生と関連することがわかっています。これらの遺伝子に変異が起きると骨粗鬆症の発症率が上がり、最大で80%の確率で骨粗鬆症になると推定されています。
そしてカルシウムの効果についても、世の中の常識が正しいとは必ずしも言えないようです。日本人のカルシウム摂取量は米国人の約半分ですが、骨粗鬆症の発症率は米国白人のほうが2倍高いのです。手足の骨を骨折する人の割合で見ても、日本人を含むアジア人は、欧米白人の2分の1~3分の2であることが明らかになっています。
このうち、足のつけ根部分で骨が折れる大腿骨頸部骨折は、寝たきりの原因で非常に多く、骨が弱くなった高齢者が転倒することで起こります。この大腿骨頸部骨折の発生率と、カルシウムの摂取量を国・地域ごとに比較したところ、信じられないような結果が得られました。それが図2─1です。米国、ニュージーランド、スウェーデンなど、1日あたりのカルシウム摂取量が多い国ほど、大腿骨頸部骨折を起こす人の割合が高い傾向が見られます。アジア代表として入っている香港、シンガポールとくらべてください。この報告は「カルシウム・パラドックス」として世界を驚かせました。
さらに2015年には、カルシウム摂取と骨折しやすさの関連について調べた46件の研究を総合的に分析した論文が公表され、食事からのカルシウムの摂取量と骨折の発生率には関連がないと結論づけています。
欧米でおこなわれる研究は、カルシウムを乳製品もしくはサプリメントから摂取することを前提にしていますが、日本は事情が異なります。
日本人は欧米人と違って、海藻と緑黄色野菜、大豆や小魚などからカルシウムを取ってきました。また、日本で実施された大規模なコホート研究からは、大豆と大豆製品に含まれるイソフラボンという成分が、骨からのカルシウムの流出をおさえることが示されています。日本で骨粗鬆症が少ない背景には、遺伝的素因に加えて食生活の違いがあるのかもしれません。
牛乳に関しては乳糖不耐症の問題もあります。牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする人がいますね。これは、牛乳に含まれる乳糖という成分を分解できないことで起こります。こういう人も赤ちゃんの頃は母乳を消化できていたはずですが、成長するにつれて乳糖を分解できなくなったのです。
この現象は哺乳類で広く認められます。それが不思議なことに、人間では人種差があるのです。日本人を含む大部分の黄色人種とアフリカ系、そして白人でも地中海沿岸地域の人々は7~9割が乳糖不耐症とされているのに対し、北欧や西欧出身の白人は例外で、乳糖不耐症は1割ちょっとしかいません。
牛乳を飲む習慣は欧米から日本に伝わりました。しかし、こう見てくると、日本人の体質に牛乳が合っているかは疑問です。さらに、日本人男性4万3000人を対象に実施された調査からは、乳製品の摂取量が増えるほど前立腺がんの発症率が上がるという結果が得られました。カルシウム源として牛乳にこだわる必要はなさそうです。
続きます!
診療492日目、「日本人」にとっては「意味がない8つの健康法」その1
2024年5月13日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
ヨーグルトを食べて体調が悪化…
じつは「日本人」にとっては「意味がない8つの健康法」
日本人には、日本人のための病気予防法がある! 同じ人間でも外見や言語が違うように、
人種によって「体質」も異なります。そして、体質が違えば、病気のなりやすさや発症の
しかたも変わることがわかってきています。欧米人と同じ健康法を取り入れても意味がなく、
むしろ逆効果ということさえあるのです。見落とされがちだった「体の人種差」の視点から、
日本人が病気にならないための方法を徹底解説します!
*本記事は
『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防』
(講談社ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
日本人、こんな健康法は意味がない
「ヨーグルトで腸をきれいに」「牛乳でカルシウムをしっかり補給」「心臓病予防に赤ワイン」
「筋肉をつけて脂肪を燃やしましょう」「酵素が不足しています」「美肌の決め手はコラーゲン」……。
いつまでも健康で若々しくありたいという人々の願いにこたえるかのように、次々に登場する新しい健康法が話題になりますね。
たいてい、もっともらしい説明がなされ、テレビや雑誌が盛んに取り上げます。店頭で見かけて、
つい買ってしまったという人もいるでしょう。
ある食品や習慣に健康効果があるかどうか判断するのは難しいものです。
簡単な体操を続けている90歳の高齢者が元気いっぱいだとしても、その運動のおかげで
寿命が延びたとは限りません。もともと健康で体力があるから運動を続けていられる可能性もあります。
また、実験室で素晴らしい効果が確認されても、それが生きた人間の体内で同じように起きるかどうかは別の話です。
健康効果を医学的に証明するには、第1章で見たコホート研究のように数万人規模の
参加者を長期にわたって厳密に観察し、その結果を判定する必要があります。
しかし現実には、少数の参加者を対象に、ごく短期間おこなった簡単な調査結果をもとに
健康効果をうたったり、データの一部を都合よく切り取ってセンセーショナルに報じたりする例が
あとをたちません。それどころか健康効果と呼べないものさえあります。
たとえば、先にあげた酵素は体内で不足するようなものではありませんし、
摂取したコラーゲンは小腸でアミノ酸に分解されるので、そのままの形で皮膚のコラーゲンに変わることは期待できません。
そして健康法にも人種差の問題があります。メディアは欧米で流行している健康法を競って
紹介しますが、日本人は欧米人とは異なる遺伝子を受け継ぎ、異なる環境要因のもとで生きてきました。
こうして作られた日本人の体質は、当然ながら、欧米人の体質とは多くの点で異なります。
欧米人に有効な健康法が日本人にも効果があるとは限らず、それどころか有害なことすらあるのです。
そんな健康法にはどんなものがあるのか、日本人と欧米人の体質の違いに注意しながら見ていきましょう。
1 日本人は頑張って筋トレしても“やせ体質”にはならない
無酸素運動は、大きな負荷をかけて瞬間的に力を入れるダンベル体操やスクワット、腕立て伏せなどの運動を
繰りかえすトレーニングで、筋肉がつくと基礎代謝量が増えることがわかっています。
基礎代謝とは、心も体も安静にしているときに消費する必要最小限のエネルギーのこと。
無酸素運動をしっかりおこなうと、その後、約48時間にわたって基礎代謝が高い状態が続くことから、
「筋力トレーニングで“やせ体質”になれる!」と言われるようになりました。
しかし、理屈どおりにはいかないものです。問題は、日本人は欧米人と違って簡単に筋肉がつかないことです。
人の筋肉は筋線維という細い線維が集まってできています。
この筋線維に赤と白の2種類があると聞いたことはありませんか? 赤い筋線維は「赤筋」または
「遅筋」といい、ゆっくりと長い時間にわたって働くことができます。そして白い筋線維は
「白筋」または「速筋」と呼ばれ、瞬間的に大きな力を発揮できるのが特徴です。
この赤筋と白筋がはっきりわかるのが、魚です。赤身の魚は筋肉の大部分が赤筋でできていて、
その代表がマグロです。マグロはこのおかげで広大な太平洋を回遊しながら成長を続けます。
それに対して白身の魚の代表がヒラメ。ふだんは海底でじっと横たわっていますが、
獲物となる小魚を見つけると、すばやく追いかけてつかまえます。人間の筋肉は赤筋と白筋が
いろいろな割合で混じりあっているので、魚と違って、肉眼で赤か白か見分けることはできません。
赤白どちらの筋線維が多いかは個人差もあるものの、それ以上に大きいのが人種による違いです。
たとえば白筋の合成に関連する遺伝子に変異があると、白筋を作りにくくなります。
白筋の合成が少ない人はアフリカ系では3~10%しかいませんが、欧米白人は20%、
アジア系では30%以上にのぼります。この結果、人種ごとに平均すると、アフリカ系の人が
筋肉全体の約70%が白筋であるのに対し、欧米白人は50~60%が白筋、
日本人を含む黄色人種は逆に70%が赤筋と言われ、アフリカ系の人がオリンピックの短距離走で
活躍するのはこのためと考えられています。
ただし、一口にアフリカと言っても広大で、暮らす人の体質もさまざまです。
同じアフリカ系でも、エチオピア、ケニアなどの東アフリカは、白筋ができにくい遺伝子変異を
持つ人が40%を占めるというデータがあるそうです。白筋が弱い分、赤筋が発達していることが、
東アフリカ勢のマラソンの強さを支えている可能性があります。
この赤筋と白筋の割合はトレーニングによってある程度変化しますが、大きく変わることはありません。
鍛えることで太くなるのは大部分が白筋なので、日本人が筋肉をつけようと思ったら、
もともと少ない白筋を集中的に鍛えることになります。これは効率が悪いうえに、
苦労して筋肉を1kg増やしても基礎代謝量の増加は1日あたりせいぜい20kcal、
わずかキャラメル1粒分のカロリーです。これによる体重の減少は年に1~2kgとされています。
体力があって、プロなみのトレーニングを続けられる人であっても、筋力トレーニングだけで
基礎代謝を十分高めるのは難しいでしょう。
そして、基礎代謝には意外な側面があります。じつは筋肉だけでなく脂肪組織もエネルギーを
消費しているので、脂肪がkg減ると基礎代謝量が1日あたり5kcal下がります。
つまり、激しいトレーニングを通じて筋肉を1kg増やし、脂肪を2kg減らしたとすると、
基礎代謝量の増加は差し引き10kcalになってしまうのです。これでは話になりません。
筋力をつけるのは大切ですが、筋力トレーニングをしても”やせ体質”にはなれないということです。
やせたければ、カロリーの総摂取量を減らすとともに、日常生活のなかで体をこまめに動かしてカロリー消費を積み重ねるほうが確実です。
続きます!
診療491日目、日本に多いがん、欧米に多いがん
2024年5月11日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
「胃がん」や「大腸がん」を追い抜き、
いま「日本人」のあいだで発生率が急上昇している「がんの種類」
「生まれ持った遺伝的な体質」は変えられる! 最新科学が示す「日本人が健康になる秘訣」とは?
親から受け継いだ遺伝子は生涯変わらないから、がん、糖尿病、認知症、高血圧、肥満など、さまざまな病気のリスクや体質は「遺伝的なものだし仕方ない」と思っていませんか。しかし、近年のゲノム生物学の進歩によって、生活習慣や環境で遺伝子の働きが変わり、「病気のなりやすさ」も変わることが明らかになってきています。日本人の遺伝子と体質の特徴を捉えていくと、どうすれば遺伝的なリスクを抑え健康に過ごせるかが見えてきます。
*本記事は『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社ブルーバックス』を抜粋・再編集したものです。
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日本に多いがん、欧米に多いがん
がんは1981年以降、日本人の死因第1位です。
国立がん研究センターがん対策情報センターが2017年のデータをもとに推計したところ、男性が一生のあいだにがんと診断される確率は約66%で、女性は約50%でした。「2人に1人が一生に一度はがんになる」という表現は、この数字を根拠にしています。
先に述べたように、日本でがんが増えたように見えるのは高齢化社会だからです。がんは高齢になるほど発生しやすい病気だからですね。
同センターがまとめたがん統計によると、
2017年に日本であらたに診断されたがんは、男性の第1位が前立腺がん、第2位が胃がんで、次いで大腸がん、肺がん、肝臓がん、女性は乳がんが第1位、第2位が大腸がん、そして肺がん、胃がん、子宮がんの順でした。すべて高齢化の影響を受けないように年齢で調整したデータです。
わざわざデータを調整するのは、がんが加齢によって発生しやすくなる病気だからです。国と国はもちろん、同じ国でも時代が変われば集団の年齢構成が異なります。そのため、こういう場合は統計学にもとづいて定められた複雑な計算式を使い、調査対象者の年齢をそろえたうえで発生率や死亡率をくらべることになっています。
乳がんと前立腺がんは、元は欧米で多いがんでした。けれども昨今、日本でも発生率が急速に上昇し、それまで日本で多かった胃がんや、やはり近年増加した大腸がんの発生率を追い抜いたかっこうです。
では、米国はどうでしょう。米国保健福祉省、米国疾病予防管理センター(CDC)、米国国立がん研究所(NCI)の公式がん統計によれば、2017年にあらたに診断されたがんのなかで、もっとも多かったのが乳がんで、次いで前立腺がん、肺と気管支のがん、大腸がん、子宮がん、皮膚の悪性黒色腫の順でした。
おやっ、と思うのが、日本で上位を占める胃がんが見当たらず、代わりに日本では珍しい皮膚のがんが第6位に入っていることです。胃がんは米国の統計では10位までに入っておらず、日本人男性で第5位の肝臓がんも、やはり米国では10位以下です。
悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、ほくろのように黒く、足の裏を含む全身の皮膚の他に、口や目の中にできることもあります。世界がん研究基金(WCRF)によると、10万人あたりの発生数はオーストラリアの33・6人を筆頭に、ニュージーランド、欧米諸国が高く、米国は約12・7人でした。
これに対して国立がん研究センターの「がんの統計2019」は、日本の発生率を10万人あたり0・5~0・6人としていますから、オーストラリアのわずか60分の1です。どちらも年齢で調整したデータです。
皮膚がんにはいくつかタイプがありますが、いずれも強い紫外線を浴びると発生率が上がります。そのためオーストラリアで皮膚がんが多いのは、地球を取り巻くオゾン層が温室効果ガスによって破壊され、紫外線が大量に降り注いでいるからと推測されています。また、英国では若い人を皮膚がんから守るため、大部分の地域で18歳未満の未成年は日焼けサロンを利用できません。違反したサロンには最大で約350万円もの罰金が科せられます。
けれども、同じ土地に住む人が同じように悪性黒色腫になるかというと、そうではないのです。たとえば米国がん統計の年齢調整ずみデータによると、同じ米国人でもアフリカ系とアジア大洋州系の発生率が日本の2倍程度にとどまるのに対して、欧州系の発生率は10万人あたり28・0人と、アフリカ系の28倍にのぼります。図1‒5のグラフに示しました。こうなると紫外線の照射量だけでは説明がつきません。
暮らす環境が同じで生活習慣も似通っているとなれば、生まれ持った体質の違いが、特定のがんの発生しやすさに影響していると考えられます。皮膚の細胞が単純にがん化しやすいのか、紫外線で遺伝子に傷がつきやすいのか、紫外線でついた傷を修復する力が弱いのかはわかりませんが、そのどこかに、親から受け継いだ遺伝子多型とエピジェネティクス変異が作る人種による体質の違い、図1‒4でいうと(1)が関係しているということです。
前立腺がんも同様で、アジア系の発生率を1とすると、欧州系はその約2倍、アフリカ系は3倍以上高いことが示されています。
診療490日目、「浮くうんち」と「沈むうんち」
2024年5月10日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
「浮くうんち」と「沈むうんち」ではどっちが健康?
…最新科学で判明した「便」「ガス」「腸」の“意外な関係”
ジェットコースターで結石を出す、うんちを移植してガンや認知症を治す、
万引きや虐待の時に活性化する脳の部位がある…。こうした研究は実際に存在するものです。
そして、最先端の研究分野ではこのほかにも身体や病気について
次々と新しい事実が明らかになっています。そんな“人体の話”をまとめたのが
『ウソみたいな人体の話を大学の先生に解説してもらいました』。
Xのフォロワー22万越えの大人気ニュースサイト「ナゾロジー」の協力のもと、
岡山大学大学院教授の中尾篤典氏と脳神経科学者の毛内拡氏が解説します。
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浮くうんちと沈むうんち、どっちが健康?
トイレで水に浮くうんちと沈むうんちがありますが、どっちが「いいうんち」なのか気になったことはありませんか?
昔の日本では汲み取り式のトイレが多く、うんちは奈落の底へ落ちてすぐにお別れとなり、
川や海で用を足す場合もあるでしょうが、うんちの浮き沈みは、近代文明の恩恵で水洗トイレができて初めてわかったことで、うんちを自分で観察できる時代だから出てくる疑問です。
水に浮くということは、水より密度が低い物質が多く含まれているということであり、当初その原因は脂肪であると考えられていました。
膵臓の病気で、膵臓から分泌される脂肪分解酵素が出にくくなった患者さんや、手術で小腸を多く切除してしまった患者さんは、脂肪を吸収しにくくなります。
こういった患者さんや、脂肪を多く取りすぎる人の便は脂肪を多く含み、水に浮きやすいことが知られています。では、浮くうんちは不健康かというとそうでもなく、健康な人の10~15%は、常に浮くうんちが出るともいわれています。
1970年代の初めに、ミネソタ大学病院の消化器系内科医が自分のうんちが常に浮いていることに興味を持ち、自分を含めた健康な33人からうんちを提供してもらい調べていました。
そのうち9人が浮くうんち、24人が沈むうんちだったのですが、うんちを圧縮してガスを追い出したところ、浮くうんちも沈むようになり、さらに数々の調査を行った結果、うんちの浮き沈みは脂肪の量ではなく、含まれるメタンガスの量によって決まることが明らかになりました。
(1)
その後、腸内細菌が注目されるようになり、腸内に菌がいない無菌マウスを使った実験が盛んに行われるようになりました。
アメリカを代表する総合病院・メイヨークリニックの研究者たちは、普通のマウスのうんちは浮くのに、無菌マウスのうんちが沈むことに気づきました。研究者たちは、人間から採取した腸内細菌を無菌マウスの胃に入れ、無菌マウスに腸内細菌を持たせたところ、無菌マウスのうんちが浮くようになったのです。
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腸の健康にも密接に関わる
さらにマウスのうんちに含まれる気体成分を分析したところ、浮いたうんちには、メタンガスに加えて水素ガスが含まれていることがわかりました。
さらに浮いたうんちには、メタンガスや水素ガスを生成するガス生成菌が多く存在していました。これらの結果から、うんちの浮き沈みは腸内細菌が発生させるガスの量に深く関係していることがわかりました。
(2)
最近、小腸内細菌増殖症(SIBO)という疾患概念が出てきました。これは本来大腸にある細菌が小腸に入り込み、そのまま小腸にとどまって爆発的に増えてしまい、増えすぎた腸内細菌によって大量のガスが発生しお腹が張ってしまう病態です。
慢性的に、お腹が張ったり下痢や便秘など便通の異常を感じたりする「過敏性腸症候群」にも深く関わっており、「下痢型」と「便秘型」という2つのタイプがあります。細菌が作る水素が多いと下痢になりメタンが多いと便秘になるといわれています。
(3)
このように、腸の中で発生するガスはうんちの浮き沈みに関与するだけでなく、腸の健康にも密接に関わっているのです。将来的には、うんちの浮き沈みと腸内細菌のデータを組み合わせることで、お腹の健康を調べる方法ができるかもしれません。
診療489日目、社交的な性格は「腸内殺菌」がコントロールしていた…!?
2024年5月9日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
実は、社交的な性格は「腸内殺菌」がコントロールしていた…!?
「快便」が人にもたらす、驚きの影響
ジェットコースターで結石を出す、うんちを移植してガンや認知症を治す、
万引きや虐待の時に活性化する脳の部位がある…。こうした研究は実際に存在するものです。
そして、最先端の研究分野ではこのほかにも身体や病気について次々と新しい事実が
明らかになっています。そんな“人体の話”をまとめたのが
『ウソみたいな人体の話を大学の先生に解説してもらいました』。
Xのフォロワー22万越えの大人気ニュースサイト「ナゾロジー」の協力のもと、
岡山大学大学院教授の中尾篤典氏と脳神経科学者の毛内拡氏が解説します。
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腸内細菌で性格激変!?
腸内細菌について深く理解してみましょう。
腸内細菌叢が私たちの健康維持のため重要な役割を果たしていることはよく知られていますが、さらに最近では、腸内細菌と中枢神経の関係が注目され、心の問題や生活・行動様式にも様々な影響を与えることが明らかになってきました。
カリフォルニア工科大学の研究者たちは、腸内細菌がマウスに社交性を与える仕組みを明らかにしました。
研究では通常の環境で育てられたマウスと、無菌環境で育てられたマウスを比較しました。無菌状態で育てられたマウスには、腸内細菌が存在しませんが、これらのマウスたちは、通常のマウスに比べ社交性が大幅に減少していることが判明しました。(1)
マウスの社交性といっても、パーティー会場で会話能力を試すわけにはいきません。
ではどうやって決めるかというと、マウスは初対面ではお互いの臭いを嗅ぎ、体の上をまたいでいくことでコミュニケーションを取りますが、そういったマウスの行動を細かく観察することで、社交性の有無を判断しているのです。
また腸内細菌がいないマウスたちの脳を調べたところ、視床下部・偏桃体・海馬などストレス反応に関与する領域が活性化し、体内ではストレスホルモンの生産命令が持続的に出されている状態になっていました。つまり、いつでもストレスに対応ができるようにスイッチが入った状態、いわゆる戦闘状態になっていたのです。
この研究では、腸内細菌が脳に、「まあ落ち着きなさい」というメッセージを出し、ストレスホルモンの生産命令を抑制することでマウスの気分を改善し、社交的になる精神的余裕を与えていた可能性が高いことがわかりました。
腸内細菌を構成する菌にも、多くの種類がありますが、どの菌が社交性改善に役立っているかは不明でした。
そこで研究者たちは、腸内細菌を持たないマウスたちにいわゆる善玉として知られている様々な乳酸菌を与えて、どの種類の菌が社交性改善に役立っているのかを調べました。
結果「Enterococcus faecalis」(エンテロコッカス・フェカリス)という一般の整腸剤やサプリメントに含まれる乳酸菌がマウスの社交性を大きく改善すると示されました。
自閉症の人たちの「腸のなか」
腸内細菌がないマウスという非常に特殊な状況が、私たち人間にもそのまま当てはまるか、と疑問を持つ人も当然いるでしょう。では私たち人間にも当てはまる、自閉症についてのお話を紹介しましょう。
自閉症は、自分の殻に閉じこもるように誤解されることもありますが、そうではなく、「周りの人たちとうまく関係を築けない」「話すのが苦手」「特定のものへの執着と同じ行動の繰り返しを好む」という特徴的な社会的ふるまいを持つ障害であり、これらを包括して自閉症スペクトラムと呼ぶこともあります。
自閉症スペクトラムの子供たちの多くには、慢性的な腹痛、消化不良、下痢、便秘など、消化器系の問題があることが知られており、これらの症状は注意力や学習能力、または行動に悪影響を及ぼしている可能性があるといわれています。
自閉症と腸内細菌の関連は早くから研究されており、自閉症スペクトラムの子の腸内細菌は、健常児と比較して種類が少なく、クロストリジウムという菌が特に多いことが知られています。(2)
すでに述べたように子供たちの腸内細菌は母親によって決まることが多く、母親の胎内にいるときに母親が抗生物質を使ったり、あるいは帝王切開で菌のシャワーを浴びる機会がなかったりすると、腸内細菌に偏りが出て、のちの自閉症のリスクに関連するといわれています。
そこで、自閉症の子たちの腸内細菌を、健常児の腸内細菌と入れ替える、うんちの移植が行われました。移植後2年間追跡調査したところ、治療を受けた自閉症の子どもたちは消化器系の症状に改善が見られたほか、多くの患者は自閉症に特徴的な「社会的ふるまい」にも45%に改善が見られたそうです。(3)
お腹の調子がいいと、気分が良くなって社交的になったり、精神疾患が軽快したりするのは当然かもしれません。それでも腸内細菌は私たちの心にとっても非常に大切で、色々な方面から役に立っていることに疑う余地はありません。
診療488日目、GW後の診療について
2024年5月7日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
GWいかがお過ごされたでしょうか?
本日より通常通り診療致します!
引き続きよろしくお願いいたします😄