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診療579日目、電子タバコ、タバコ、水パイプ、無煙タバコが歯科インプラントに与える影響を比較する研究

2024年9月10日

こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。

 

当院でもよくよく飛び交う患者様からの質問の中で、

「電子タバコに変えたんですけど、紙タバコよりも害は少ないですよね?」

という内容があります。

ということで、しっかりとエビデンスがある研究記事をシェアします!

海を超えてハンガリーからの研究結果です!!!

.

ハンガリー、センメルワイス大学補綴科Dr Orsolya Vámosらの研究です。

電子タバコは他の3種のタバコよりもインプラント周囲粘膜への為害性が小さいことが分かりました。

周囲粘膜=歯茎と変換してください。

と、今回紹介する記事はインプラントの予後に関したものですが、

インプラントが入っていない、天然歯とその歯茎にも共通した内容ですので、

ぜひご一読くださいね!

電子タバコ、タバコ、水パイプ、無煙タバコ

歯科インプラントに与える影響を比較する研究

ブダペスト、ハンガリー:喫煙者はインプラント周囲疾患を発症する確率が高いことがわかっています。

しかし、この点に関してタバコとニコチンを含む一般的な代替製品を比較した研究は不足しています。

このギャップを埋めるために、最近の研究では、電子タバコ、水パイプ、タバコ、無煙タバコが

インプラント周囲粘膜に与える影響を比較しました。これは、このようなネットワーク メタ分析としては初めてのことです。

研究者らは、研究で調査された他の 3 つのニコチン含有製品と比較して、電子タバコが歯科インプラント周囲の軟組織に与える害が最も少ないと報告しました。

.

ブダペストのセンメルワイス大学補綴学科の筆頭著者オルソリア・ヴァモス博士によると、

水パイプや無煙タバコなどの一部のニコチン含有製品は、従来の紙タバコよりも害が少ないと誤解されることが多く

そのため近年人気が高まっている。同博士は、タバコの煙に含まれる成分が歯肉に炎症を引き起こす可能性があり、

ニコチンは血管を収縮させて組織への血流を減らし、インプラント埋入後の治癒過程を妨げると説明した。

ニコチン含有製品がインプラント周囲組織に与える影響を比較するため、研究者らは文献の系統的レビューを

実施し、その後、適格な32の研究のネットワークメタアナリシスを行った。

研究者らは、喫煙者と非喫煙者における辺縁骨の損失、探針深度、プラーク指数、探針による出血、

インプラント周囲歯肉溝液量など、臨床的、放射線学的、免疫学的インプラント周囲パラメータに関するデータを収集した。

データによると、非喫煙者の辺縁骨損失は最も少なかったが、ニコチン含有製品使用者の大多数は非喫煙者に

比べて辺縁骨損失が有意に高かった。一般的に、ニコチン含有製品使用者の大半は、

非喫煙者に比べてインプラント周囲パラメータが悪かった。

.

しかし、電子タバコ使用者は多くの結果で非喫煙者と有意な差は見られなかった

センメルワイス大学補綴学科准教授のバーバラ・キスペリ博士は、インプラント手術に伴う外傷性ストレスと

高額な治療費を考慮すると、歯科医はインプラント埋入を進めるのが賢明か、

ニコチン使用による合併症の可能性や健康上の配慮からインプラント埋入を勧めないべきかを判断すべきだと考えているとコメントした。

研究結果を踏まえ、研究者らは、ニコチン含有製品がインプラントに及ぼすリスク、禁煙のメリット、

適切な口腔衛生維持と禁煙支援の提供について患者を教育することの重要性を強調した

また、さらなる研究には加熱式タバコ製品を含め、

参加者の喫煙習慣や口腔衛生などの要素を考慮することを推奨した。

「ニコチン含有製品のインプラント周囲組織への影響:系統的レビューとネットワークメタ分析」と題されたこの研究は、

2024年4月15日にニコチン・タバコ研究誌にオンライン掲載され、その後、定期刊行物に掲載された。

.

大前提として、

電子タバコを勧める内容でないことはご理解ください。

今回の研究結果が、歯茎への悪影響がほとんどなかった、というものであって、

身体全体へのことではありません。

ブログ担当個人の感想としては、趣向品の嗜む程度にしましょう。です!

 

 

参考までに原文も載せておきます!

Study compares effect of electronic cigarettes, cigarettes, waterpipes and smokeless tobacco on dental implants

BUDAPEST, Hungary: Smokers have been shown to have a higher chance of developing peri-implant disease. However, there is a lack of research comparing cigarettes with popular alternative products that contain nicotine in this regard. To fill the gap, a recent study has compared the effects of electronic cigarettes, waterpipes, cigarettes and smokeless tobacco on the peri-implant mucosa—the first network meta-analysis to do so. The researchers reported that e-cigarettes caused the least harm to the soft tissue around dental implants compared with the other three nicotine-containing products examined in the study.

According to lead author Dr Orsolya Vámos from the Department of Prosthodontics at Semmelweis University in Budapest, some nicotine-containing products, such as waterpipes and smokeless tobacco, are often incorrectly perceived as less harmful than traditional cigarettes and have thus grown in popularity in recent years. She explained that the components found in tobacco smoke can induce inflammation in the gingiva and that nicotine constricts blood vessels, thus reducing blood flow to the tissue and hindering the healing process after implant placement.

To compare the effect of nicotine-containing products on peri-implant tissue, the researchers conducted a systematic review of the literature and then a network meta-analysis of the eligible 32 studies. They collected data on clinical, radiographic and immunological peri-implant parameters such as marginal bone loss, probing depth, plaque index, bleeding on probing and peri-implant sulcular fluid volume among smokers and non-smokers.

The data showed that non-smokers had the smallest marginal bone loss, whereas the majority of nicotine-containing product users had significantly higher marginal bone loss compared with non-smokers. In general, most nicotine-containing product users presented with worse peri-implant parameters compared with non-smokers. However, e-cigarette users did not show significant differences from non-smokers in many outcomes.

Dr Barbara Kispélyi, associate professor in the Department of Prosthodontics at Semmelweis University, commented that, in light of the traumatic stress and high treatment costs of implant surgery, she believes that dentists should determine whether it is advisable to proceed with implant placement or whether they should recommend against it owing to possible complications due to nicotine use, in addition to health considerations.

In light of the study findings, the researchers highlighted the importance of educating patients about the risks that any nicotine-containing product may pose to implants and about the benefits of quitting smoking and of providing them with appropriate oral health maintenance and cessation support. They also recommended that further studies should include heated tobacco products and consider factors such as the participants’ smoking habits and oral hygiene.

The study, titled “The effect of nicotine-containing products on peri-implant tissues: A systematic review and network meta-analysis”, was published online on 15 April 2024 in Nicotine and Tobacco Research, ahead of inclusion in an issue.

診療576日目、「うちの子・・・口が臭いんです」

2024年9月6日

こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。

数ヶ月に一度、このホームページの担当さんとブログ担当で、

定期報告会を開いてどんな内容のページが、ブログの内容が読まれているか

情報共有を行い、そのお話を元に今後の方向性を考えています。

以前こちらにも書いたかもしれませんが、

実はこのブログ担当が気になったこと・知ったことを自由気ままに

書いている中、今年の初めに異常事態が起きていました🚨

・・・何とバズっていたんです。

じんわりと今もバズっています。

うんちと犬の話題でバズっています。

ブログ担当の迷走が表面化したようで、非常に面白い現象だなと笑ってしまいました。

ただですね、椎名町駅えがお歯科は歯医者なんですね😅

たまにバラエティ的な内容で話題になってくれるのはよし、

歯科の内容でも話題性の強いものを取り上げようとという考えに至っております。

 

前置きは長くなりましたが、

夏休みということもあって、7月8月は非常にお子様の来院が増えました。

この2ヶ月でご家族様から相談のあったことをいくつか取り上げていきたいです!

 

子供の口臭がドブ臭かったり、うんち臭いと思ったことありませんか?

口臭は、誰にでも一定程度存在します。

いくらお口がきれいでも、まったくの無臭ということはありません。
私たちが生き物である以上、吐く息にはなんらかの成分が含まれ、臭いを伴います。
ただ、近くにいるだけで伝わるような強い口臭、独特の臭いをもつ口臭がある時には、注意が必要です。
子供の口臭がドブ臭い・うんち臭い、その他不快に感じてしまった時には、放置してはいけません⚡️

.

子供の口臭は、子供本人ではなく親御さんが悩んでいることがほとんどです。

子供に口臭があると、学校でいじめに遭うのでは?と心配になるからです。また、お母さんお父さん、家族が

元々口臭に対して不安を抱いていたり悩んでいたりする場合も、子供に対して神経質になってしまいます。
ただ、本人は気にしてはいないので、口臭に関して親が子供に話す言葉には注意が必要です。
なぜなら、息ってくさいんだ、という感覚がまだないときに、臭いと表現されてしまうのは、

そこから逆に悩みになる引き金になるからです。
さりげない一言であっても、「くさい」という表現は人格を著しく傷つけてしまいその頃の心の傷が、

成人になるまで影響を与えることが多くなります。多くの患者様を診てきて、きっかけの大半が幼少期や思春期の母親の一言から悩んでいたりします。
子供の口臭の指摘をしてしまったときは、指摘をしたことに責任を持つことが必要です。
子供は自分からは言えなくても、口臭を密かに気にし出したりするのです。
臭わないときには「全然、臭わないよ」と言ってあげることがとても重要です。

 

心配のない口臭

起床直後は、口腔が不衛生でやや口臭が強くなります。緊張している時も、唾液が少なくなり、

同様に口臭が増します。また、臭いの強いものを食べれば、その食べ物の臭いに近い口臭が発生します。
ただ、こういった時に生じる口臭は、特に心配する必要はありません。いずれも歯を磨いたり、水を飲むなどすれば改善します。

 

子供の口臭の原因は、大きく以下のように分類されます。

1.ケアの不足・虫歯

歯磨きなどの毎日の口腔ケア、歯科医院での定期的なケアが不足している状態です。

プラーク中で細菌が増殖し、嫌な臭いを発します。
タンパク質を含む神経まで進行したような虫歯も、腐敗したような嫌な臭いを引き起こします。

 

2.内臓の病気

胃腸の病気、鼻や喉の病気も炎症や潰瘍に伴う嫌な臭いの原因となります。

便秘になると直腸に長い時間うんちが残った状態が続き、悪臭のガスが大量に発生します。

「呼気口臭」により排出される口臭も増えることになります。

悪玉菌も増えやすくなり、腸内環境の乱れにもつながります。腸内環境が悪化すると

便秘になりやすくなるため、悪循環となってしまいます。

主に小学生の子供はうんちをすることに「恥ずかしい」という意識を抱きがちなため、

学校で便意を催しても我慢することが少なくありません。学校で排便を我慢することによって便がたまり、

たまった便が直腸を広げて便意を感じさせにくくなるという、便秘の悪循環が起きます。

 

3.食べ物・飲み物

腸内にある食べ物のカスを悪玉菌が分解し、便特有の臭いである「インドール」や「スカトール」という悪臭成分を発生させます。

悪臭成分を含んだガスは腸から血液に溶け込んで全身を巡り、肺に辿りつくと呼吸とともに口から外に排出され口臭になります。

これが、うんち臭い口臭の正体「呼気口臭」です。口がうんち臭い場合の原因は、腸内に潜んでいるのです。

ご説明した通り基本的に“心配のない口臭”ですが、

食べかすを放置していれば臭いは強くなりますし、虫歯のリスクも高まります。

 

4.口呼吸・ドライマウス

口呼吸によって口内が乾燥し、唾液の量が減少する「ドライマウス」も

口臭の原因となり、近年は子供にも増加しています。

唾液には細菌の繁殖を抑えて口内環境を清潔に保つ役割がありますが、

口呼吸をすると口の中が乾燥して唾液の量が減少し、細菌が繁殖します。

この細菌の塊が歯垢(プラーク)や舌に付着する舌苔(ぜったい)となり、ひどい悪臭を放ちます。

歯垢や舌苔といった細菌が増えると、口臭だけでなく虫歯や歯肉炎になる危険性が高まります。

 

子供が口呼吸をする原因には、
・口回りの筋力が弱くて「お口ポカン」状態になっている
・風邪やアレルギー性鼻炎による鼻づまり、アデノイド(咽頭扁桃)が肥大して鼻の通りが悪くなっている
・姿勢が悪く、肺へ空気が効率的に送られないために口での浅い呼吸が増える
などが挙げられます。

 

5.生理的な現象

起床直後や緊張時に強くなる口臭です。
こちらも基本的に“心配のない口臭”です。

 

子供の口臭の原因は鼻づまりのケースも多い!?

子供の口臭が強い気がする、けれど虫歯はないし、歯科医院で定期検診も受けている…

そういった場合に考えられる原因が鼻づまりを伴う疾患です。

アレルギー性の鼻炎・喘息・慢性副鼻腔炎(蓄膿)・アデノイド肥大などがこれに該当します。

慢性的な鼻づまりは、しばしば口呼吸を引き起こします。

さらに口呼吸は口腔の乾燥や歯並びの乱れにつながることがありますので、

根本的な原因である病気はしっかりと治しておくことが大切です。

 

子供の口臭の歯医者でできる対策方法

歯科医院で受けられる口臭対策として、以下のようなものがあります。
椎名町駅えがお歯科でも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

  • 虫歯の治療
  • クリーニング、歯石取り
  • セルフケア、仕上げ磨き指導

 

簡単に「口が臭い」と言っても、原因と解決策はこのように様々なのです。

当院でご相談くださったお子様のほとんどは鼻詰まりによる口呼吸が口臭を引き起こしておりました。

「え!?こんなこと歯医者で相談していいの!?」と

決して遠慮はなさらず、気になったことはおっしゃてくださいね☺️

診療575日目、最新・海外のセルフケア事情

2024年9月5日

こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。

 

・・・実は本日より当院に新たな歯科衛生士さんがやってきます!

先月より合わせて2人目の新メンバーにドキドキワクワクです☺️

という、近況報告も挟みつつ、本日は「海外の最新セルフケア」のご紹介です!

普段はブログ担当の思いつきや気になることを主だって認めていますが、

たまにはトレンドも押さえていこうと思います🔥

フロスより歯間ブラシが主流?!

海外のセルフケア事情から読み解く、これからの予防歯科のあり方

歯科界では何かと比較される機会が多い、日本と海外の歯科医療。

その中でも欧米諸国で規定されている基準や考え方については、

あらゆるセミナーや書籍で紹介されることが多く、日本の歯科医療従事者にとって臨床のヒントとなるエッセンスが多く含まれています。

 

今回は、スイスに本社を構える株式会社クラデンジャパン(以下、クラデン社)代表の池亀友氏に、

海外のセルフケア事情について伺いました。欧米諸国に何度も訪れた池亀氏だからこそわかる、

ありのままの海外事情を紹介した上で、そこから学ぶべき日本の予防歯科のあり方について一緒に考えていきましょう。

 

“FLOSS OR DIE”はもう時代遅れ?!

近年の海外のセルフケア事情とは?

1997年にアメリカ歯周病学会が発表した衝撃的なスローガン、それが「Floss or Die」です。

皆さんの中にもワードとして聞いたことはありますか?

ブログ担当は、今回初めて目にしました😳⚡️

この広告は、歯周病予防のキャンペーンで作られた広告で、フロスをしていないと口腔内細菌が

身体のさまざまな器官に悪影響を及すため、フロスを使ってブラッシングをしようという内容が記載されています。

アメリカでは約100年前から、国を挙げてデンタルフロスの使用が推奨されてきました。

フロスをするか死ぬか!

ちょっと過激なんじゃない!?という表現ですが、それほど歯周病予防にデンタルフロスが大事ですよ、

という思いが込められているのだと思います。

しかし、数年前にAP通信が報じた記事が話題になりました。

「フロスの有効性を証明する論文の科学的根拠が乏しい」というものです。要するに論文に問題がある

という内容だったのですが、なんとこれがきっかけでアメリカの食事生活指針からデンタルフロスが削除されるという事態にまで発展してしまいました。

なんとアメリカらしいエピソードでしょう・・・

もちろん、科学的根拠が乏しいのだから国としては支持しづらいということではあるのでしょう。

でも、この記事によって、デンタルフロスは効果がないと早合点してしまうのはちょっと待ってください!!

 

しかし2000年に入って間もなく、米国心臓病学会はこの広告の内容を真っ向から否定しました。

2017年11月には、アメリカ歯周病学会(AAP)とヨーロッパ歯周病連盟(EFP)共催のワークショップが

米国シカゴで開催され、そのワークショップで得られたコンセンサスをもとに作られた

EFPのガイドラインでは、以下のように歯間ブラシによる歯間部清掃が推奨されています。

そのためヨーロッパでは、歯間ブラシが歯間清掃用具の第一選択と考えられてきているが、

日本においては、まだまだ歯間部清掃に対する知識や情報がアップデートされていない状況が散見されているでしょう。

EFPのガイドラインにおいては、歯周病治療として4つの連続したステップが推奨されています。

1. 良好な口腔衛生状態と健康的なライフスタイルにより炎症を抑えることは、治療に対する

最適な生体反応を引き出すことや長期に渡り疾患をコントロールのための基礎である。このステップには、

プロフェッショナルによる歯肉縁上のバクテリア(プラークや歯石)の除去も含まれる。

2. プロフェッショナルによる歯肉縁下の歯根面の徹底的なクリニーングと、必要に応じたさらなる治療。

3. 患者によっては、外科処置などのより複雑な治療が必要となる。

4. 歯周病の再発を防ぐためには、長期に渡るサポーティブなケア、それに伴う健康的なライフスタイル、

良好な口腔衛生状態、そしてクリーニングを含む定期検診が必要となる。

 

東京医科歯科大学名誉教授の田上順次先生は、このガイドラインについて、以下のように語っています。

「2017年に開催された「歯周炎の分類に関する世界ワークショップ」では、歯周炎という疾患の程度と

範囲だけでなく、複雑さの程度や個人のリスクについても言及されていた。これを受け、欧州歯周病学会連盟(EFP)は、

本臨床治療ガイドラインを策定した。GRADEという手法によるもので、信頼性の高い(S3)ガイドラインである。

このガイドラインでは、治療の種々の段階での治療方法や、SPC(歯周病安定期のケア)における対応について、

どの程度の強さで推奨されるかが、エビデンスの質をもとに提示されている。現代における、歯周病の治療と予防に

関する最新のデータに基づく信頼性の高い指針であるといえるだろう。

 ここでは、SPC中の歯間部のプラークコントロールに関して、「歯間ブラシの使用」が最高位の推奨(Grade A)となっている。

一方興味深いのは、「デンタルフロスの使用」については、歯周病安定期のケアにおいての歯間部清掃の第一選択としては推奨しない

(Grade B)としていることである。デンタルフロスと歯間ブラシの選択について、EFPとして明確に示したもので、我々としても即座に臨床に反映すべき内容である。」

 

クラデン社では毎年、セルフケア用品の売上についての市場調査を実施しました。2022年のデータによると、

一般市場における歯間ブラシとフロスの売上は、それぞれ80億円と70億7,000万円で大きな差はありません。

一方、歯科医院市場においては、歯間ブラシが27億2,000万円、フロスが13億3,400万円と売上額に2倍以上の差が出ている

この結果から、歯科医院市場では歯間ブラシの重要性が認知されてきているものの、一般市場にはまだ伝わり切っていない

ということが読み取れるのではないだろうか。ここに関しては、歯科医院だけでなく歯科企業からの啓発も今後の課題として挙げられるのかもしれない。

 

欧米諸国では、なぜ高濃度のフッ化物配合歯磨剤や洗口剤が簡単に手に入れられる?

近年では日本国内外問わず、さまざまなセルフケア用品が販売されており、

多くの消費者が歯科医院以外の場所でも簡単にセルフケア用品を購入することができます。

 

特に欧米諸国においては、日本だと歯科専売品として取り扱うような製品でも、スーパーやドラッグストアなどで

手に入れることができ、高濃度のフッ化物配合歯磨剤やフッ化物洗口剤、クロルヘキシジン配合洗口剤等が販売されています。

海外旅行のお土産のまとめサイトなどにもよく紹介されていますね。

 

例えばフッ化物配合歯磨剤の場合、日本では1,450ppmFがもっとも高濃度の歯磨剤として販売されているのに対し、

欧米諸国では5,000ppmFの歯磨剤が、しかもドラッグストアで販売されています。

では、なぜ欧米諸国では、そんなにも高濃度のセルフケア用品を手軽に手に入れられるのでしょうか。

その理由の一つに、欧米諸国では、

歯科医院で処方されたセルフケア用品をドラッグストアで購入するということが習慣化されている国が多いということが挙げられます。

 

それに対し、歯科医院で指導したセルフケア用品を、患者にその場で購入してもらうというモデルが、

古くから確立されている日本の歯科医院です。そんな日本だからこそ提供できる予防歯科が、きっとあるに違いのです。

 

日本だからこそできる理想的な予防歯科のあり方に迫る!

日本において、セルフケア用品を歯科医院で購入する患者が増えていることはご存じでしょうか?

当院でも定期検診以外でもセルフケア用品だけを購入にお越しいただく患者様も増えてまいりました。

前述したクラデン社が行った市場調査によると、歯ブラシの歯科医院市場は年々増加の傾向を辿っており、

2022年時点で全体の2割以上を占めています。

このことからは、院内で処方される歯ブラシの需要が高まっていることが伺えるのではないでしょうか。

先述した通り、日本では患者が歯科医院でセルフケア用品を購入できる環境が整っており、

質の高いプロケアとセルフケアを両立させやすいと考えられます。しかし欧米諸国に比べると、

根拠のある濃度で製品化されているセルフケア用品は少ないのです。

したがって、化学的アプローチが十分に効果を発揮できない可能性がある分、

機械的アプローチの重要性がより高くなってくると期待もできます。

 

SPTやP重防が保険算定できるようになった現代では、日本ではメインテナンスを比較的安価で受けられます。

欧米諸国では日本の約3~5倍ほどの費用がかかるため、患者負担は先進国の中でも圧倒的に低いのです。

それならば、日本だからこそできるところに目を向け、プロケアおよびセルフケアで徹底的な機械的アプローチを行えるよう、

努めていくことが重要ではないでしょうか。

診療573日目、あのコンクールFが2型糖尿病に効果アリ?!話題の論文を徹底深掘り!

2024年9月2日

こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。

本日はコンクールFの話題です!

歯科医院だけでなく、薬局やバラエティショプなど街でも購入できるお店が増えていますね。

 

2型糖尿病にコンクールFの使用はどう影響する?

糖尿病の主要な合併症の一つに歯周病があり、相互に悪影響を及ぼすことは周知の事実である。

歯周病の発症には歯周病菌の存在が関与しており、これまでにコンクールFを用いた洗口を行うことで、歯周病菌を減少させることが報告されている。

一方で、2型糖尿病患者がコンクールFを用いることによって、歯周病や糖尿病の病状にどのような影響を及ぼすかは明らかにされていなかった。

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洗口によってレッドコンプレックスの細菌種数とHbA1c値に変化があるかどうかを検証

大阪府内の糖尿病クリニックを受診中の2型糖尿病患者173人に対し、半年間は水道水で1日1〜3回、その後半年間はコンクールFを用いて1日1〜3回洗口を行わせた。

この研究期間中、被験者がクリニックへ訪問する際は、1~2ヶ月ごとに唾液検体を6~12回採取。そして唾液検体から細菌DNAを抽出し、3つのレッドコンプレックス細菌種を検出した。さらに、血液検体も採取し、HbA1c値を測定した。

そして、水またはコンクールFで洗口した後のレッドコンプレックスの細菌種数の変化に関連する因子を調査するため、以下の5つの臨床因子に基づいて患者を分類。

① 年齢

② ベースラインのHbA1c値

③ 性別

④ 罹病期間

⑤ ベースラインのボディマス指数(BMI)

 

HbA1c値の変化についても、同様の因子について評価した。

 

コンクールF使用群では、68歳以下のレッドコンプレックス細菌種数が有意に変化

1日1回以下の洗口を行った患者(n=12)では、水またはコンクールFによる洗口のいずれにおいても、レッドコンプレックスの細菌種数の有意な減少はみられなかった。しかし1日2回(n=80)または1日3回(n=81)洗口を行った患者においては、水による洗口においては細菌種数の減少がみられなかったものの、コンクールFによる洗口では細菌種数が有意に減少した。

そのため、最終的には1日2回または3回洗口を行った161名の患者を対象とした。HbA1c値に関しては、水とコンクールFによる洗口のいずれも有意に変化しなかった。

ここでは、レッドコンプレックスの細菌種数とHbA1c値に分けて、臨床因子に関する研究結果を示す。

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レッドコンプレックス細菌種数の変化

① 年齢

年齢の中央値で患者を2グループに分類(68歳以下:n=83、69歳以上:n= 78)。

コンクールFによる洗口においては、68歳以下のグループの方が69歳以上よりも有意にレッドコンプレックスの細菌種数が少なかった(P<0.05)。

 

② HbA1c値

ベースラインのHbA1c値の中央値で患者を2グループに分類(7.4%以下:n=92、7.5%以上:n=69)。

コンクールFで洗口した後、2グループ間でレッドコンプレックスの細菌種数の変化に有意差なし。

 

③ 性別

性差(男性:n=105、女性:n=56)を調べたところ、コンクールFによる洗口においては、レッドコンプレックスの細菌種数は男性の方が女性よりも有意に低かった(P<0.05)。

 

④ 罹病期間

罹病期間の中央値で患者を2グループに分類(13年以下:n=87、14年以上:n=74)。

コンクールFで洗口した後、2グループ間でレッドコンプレックスの細菌種数に有意差なし。

 

⑤ BMI

患者をベースラインBMIによって正常と太り過ぎ(<25.0kg/m2:n=110、≥25.0 kg/m2:n=51)のグループに分類。

コンクールFで洗口した後、2グループ間でレッドコンプレックスの細菌種数に有意差なし。

 

※ 水による洗口においては、① 〜 ⑤ のどの因子においても有意差がなかった。

HbA1c値の変化

① 年齢

コンクールFによる洗口後は、68歳以下のグループの方が69歳以上よりもHbA1c値が0.06±0.07%有意に低かった(P<0.05)。

 

② HbA1c値

コンクールFによる洗口後は、7.5%以上のグループの方が7.4%以下よりもHbA1c値が有意に低かった(P<0.05)。しかしHbA1c7.5%以上のグループにおいては、倫理的な観点から血糖コントロール改善のための医療的介入を行っていたため、コンクールFによる改善とは認められなかった。

 

③ ④ ⑤ については、コンクールFによる洗口後の変化に各グループ間で有意差はなく、水による洗口後の変化は ① 〜 ⑤ すべてのグループで有意差がなかった。

よって、コンクールF使用群においては、68歳以下の糖尿病患者でレッドコンプレックスの細菌種数およびHbA1c値が有意に減少する傾向が示された。

 

今回の研究で考慮するべき点

今回の研究では、以下の4つのポイントについて考慮するべきと、論文中で言及されている。

① 研究では、PCR法によって口腔内に存在する歯周病原細菌を検出したのみで、細菌の正確な数や量については計測されていないこと

② 研究は内科クリニックで実施されたため、歯周ポケットの深さなどの口腔内データは収集できなかったこと

③ 各患者で同時に唾液を採取できず、唾液採取前の飲食や口腔清掃などの口腔環境を厳密に標準化できなかったこと

④ コンクールFによる洗口が及ぼすレッドコンプレックスの細菌種数の変化と血糖コントロールへの影響については、患者によってさまざまな個体差があったこと

 

特に④の血糖コントロールについては、他の全身疾患や投薬などの要因が個体差に関連している可能性が考えられる。今後2型糖尿病患者におけるクロルヘキシジン配合洗口液の影響を判断するためには、さまざまな要因を考慮して、さらなる研究を計画する必要があると締めくくった。

 

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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