診療865日目、「硝酸還元菌」が歯ぐきを守る?
2025年12月9日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
🦷 【新研究】「硝酸還元菌」が歯ぐきを守る?
最近、花王が発表した研究が歯科業界で話題になっています。
内容を簡単にまとめると、“高齢になっても歯ぐきが健康な人は、口の中に「硝酸還元菌(しょうさんかんげんきん)」という良い菌を多く持っている” というものです。
私たちの口の中には、数百種類もの菌が暮らしています。
虫歯をつくる菌もいれば、歯ぐきに炎症を起こす菌もいます。しかしその一方で、体にとってプラスに働く“善玉菌”もたくさんいます。今回の研究で注目された硝酸還元菌は、その善玉菌の一つです。

では、この菌はどんな働きをしているのでしょうか。
硝酸還元菌は、私たちが食事からとった「硝酸」を使って、**一酸化窒素(NO)**という成分をつくります。一酸化窒素には、血管を広げて血流を良くする作用があり、体のさまざまな場所で大切な役割を果たしています。歯ぐきの血流が良くなると、炎症が起こりにくくなり、結果として歯周病のリスクが下がると考えられています。
花王の研究チームは、60~70代でも歯ぐきが健康な人たちを調べました。すると、健康な歯ぐきを持つ人ほど硝酸還元菌が豊富で、菌のバランスがとても良いことが分かったのです。
これは「高齢になると歯ぐきが弱るのは当たり前」というこれまでのイメージを覆す、重要な発見です。
ここで大切なのは、“口の中の菌は悪いものばかりではない” という点です。
これまでのケアは、殺菌作用の強いうがい薬などで“悪い菌を減らす”ことが中心でした。しかし、最近は「良い菌を守りながらバランスを整える」ケアが重視されるようになっています。

例えば、必要以上に強い殺菌薬を使い続けると、善玉菌まで減ってしまうことがあります。その結果、菌のバランス(=口腔フローラ)が乱れ、歯ぐきのトラブルを逆に起こしやすくなることもあります。
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今回の研究は、これからの口腔ケアを考えるうえで大きなヒントになります。
・年齢を重ねても、歯ぐきを健康に保つことは可能
・そのためには「菌のバランス」がとても重要
・良い菌を守り育てるケアが未来のスタンダードになる
こうした視点は、虫歯予防や歯周病予防を考える上でも非常に役立ちます。
「歯磨きだけしていれば安心」という時代ではなく、“口の中の環境をどう整えるか” が鍵になってきているのです。
今後は、硝酸還元菌を守るための食品や、口腔ケア製品の開発が進むかもしれません。歯科医療が、より科学的で、よりパーソナライズされた世界へ動き始めています。
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🔍 硝酸還元菌そのものを“食べ物として摂る”ことは基本的にできません。
硝酸還元菌は、
「口腔内にもともと存在する菌」+「舌苔や歯面に住みつく常在菌」
であり、食品に“菌として”含まれているわけではありません。
しかし、ここからが本題です。
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🥗 硝酸還元菌を“増やす/働きやすくする”食べ物は存在します。
それが “硝酸(NO₃⁻)を多く含む食品” です。
硝酸還元菌は、硝酸を材料に一酸化窒素(NO)を作るため、
硝酸を豊富に摂ると菌が活性化しやすくなる = 歯ぐきに良い環境が整いやすくなります。
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🥬 硝酸を豊富に含む食材(=硝酸還元菌をサポートする食材)
① 緑色野菜(特に葉物)— 圧倒的に多い
• ほうれん草
• ルッコラ
• 春菊
• 小松菜
• 水菜
• レタス類
• キャベツ
• ビーツ
• ケール
➡ 葉物野菜は硝酸含有量が突出して高いです。
硝酸還元菌の“ごちそう”だと思ってOK。
② 根菜類
• ビーツ(特に多い)
• 大根
• かぶ
③ ハーブ・香味野菜
• パセリ
• バジル
• クレソン
➡ 実はかなり硝酸が豊富です。
欧米で「NOブースター」として人気が高いのもこの理由。
④ 果物(少量)
• イチゴ
• メロン
• ブドウ
果物は野菜ほどではありませんが、硝酸を含んでいます。
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🍽 食べ方のコツ(効果を最大化)
■ 生 or 軽い加熱がベスト
硝酸は熱に強いですが、
野菜の構造が壊れすぎると他の有益成分が減り、全体の効果は落ちやすいです。
■ 食事の最初に野菜を食べる
硝酸 → 舌の硝酸還元菌 → 亜硝酸 → 一酸化窒素(NO)という流れを活性化。
■ 舌磨きを“やりすぎない”
硝酸還元菌の主な住処は舌表面。
強い圧で毎日ゴシゴシすると、逆に菌が減ります。
(軽く、週2〜3回程度で十分)






