診療918日目、虫歯は過去最少
2026年3月2日
虫歯は過去最少。でも視力と肥満は?
― 2025年度 学校保健統計から見える子どもの健康 ―
2025年、文部科学省が公表した「学校保健統計調査」で、
少し明るいニュースがありました。
虫歯のある子どもの割合が、すべての校種で過去最少を更新したのです。
対象は、全国の5〜17歳 約314万人。健康診断の結果をもとに、
子どもたちの発育や健康状態が調査されました。
虫歯は確実に減っている
「虫歯が1本でもある子」の割合は以下の通りです。
• 幼稚園:19.44%
• 小学校:30.83%
• 中学校:25.23%
• 高校:32.77%
いずれも前年度より改善し、過去最少を更新しました。
小学生では約3人に1人。
ひと昔前と比べると、確実に減っています。
背景として考えられるのは、
• 学校での歯みがき指導の定着
• フッ化物応用の普及
• 保護者世代の予防意識の向上
• 定期歯科受診の習慣化
特に30〜40代の保護者は
「予防歯科」の価値を理解している世代
「痛くなったら行く」から「悪くなる前に防ぐ」へと、確実にシフトしています。
ただし、小学生で約3割という数字は、決してゼロではありません。
永久歯への生え変わり時期は最も虫歯リスクが高いタイミング。
生えたての永久歯はエナメル質が未成熟で、溝も深く、磨き残しが起こりやすいのです。
仕上げ磨きは低学年だけで終わらせず、少なくとも10歳前後までは“点検役”として関わることが重要です。
視力低下は依然として深刻
一方で、気になるデータもあります。
裸眼視力1.0未満の割合は、
• 幼稚園:23.90%
• 小学校:36.07%
• 中学校:59.35%
• 高校:71.51%
高校生では7割以上が1.0未満という結果でした。
小学校はわずかに改善しましたが、全体としては依然高水準。
文科省は「近くを見る時間の増加」が要因と分析しています。
タブレット学習、動画視聴、ゲーム。
今の子どもは、私たちの世代よりも圧倒的に“近見作業”が多い環境にいます。
家庭でできる予防の基本はシンプルです。
• 画面や本は目から30cm以上離す
• 30分に1回は遠くを見る
• 外遊びの時間を確保する
実は、屋外活動は近視進行抑制に効果がある可能性が報告されています。
日光を浴びることが、眼の成長調整に関与すると考えられているためです。
勉強を頑張る子ほど、目の負担は増えがち。
「努力しているからこそ、休ませる」
これは保護者のマネジメント領域です。
11歳前後で増える“肥満傾向”
もう一つ注目したいのが、肥満傾向児の割合。
男女ともに11歳前後でピークとなり、特に男子は9歳以降で1割を超えます。
この時期は、
• 運動量の個人差が広がる
• 食事量が急増する
• ホルモンバランスが変化する
といった成長期特有の影響を受けます。
肥満は単に体型の問題ではありません。
将来的な生活習慣病リスクとも直結します。
ただし重要なのは、
体重そのものよりも生活習慣です。
• 朝食を抜かない
• 砂糖飲料を習慣化しない
• 睡眠時間を確保する
• 体を動かす習慣を持つ
完璧を目指す必要はありません。
“続けられる範囲で整える”ことが鍵です。
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今の子どもは健康?それとも課題が多い?
今回の統計から見えるのは、
• 虫歯は減少(予防意識の成果)
• 視力低下は依然深刻
• 肥満は思春期前後が要注意
という構図です。
歯は改善、目は課題。
健康問題も時代によって変わります。
30〜40代の保護者世代は、
「虫歯が多かった子ども時代」を経験している方も多いでしょう。
今の子どもは虫歯は減りましたが、
代わりにデジタル由来のリスクと向き合っています。
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親ができることは“完璧”ではなく“継続”
健康管理は短距離走ではありません。
・夜の仕上げ磨きを丁寧に
・画面時間をルール化
・外遊びを意識的に確保
・定期健診を習慣に
小さな積み重ねが、将来の差になります。
統計は「社会の傾向」を示しますが、
お子さんの未来を作るのは、日々の家庭習慣です。
虫歯が減ったことは素晴らしい成果。
その流れを維持しながら、
“目と生活習慣”にも目を向けていきたいですね。
数字は変化しています。
だからこそ、私たちもアップデートしていきましょう。
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