診療240日目、「歯周病」との関連が気になる5つの病気
2023年5月16日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
50代以上になるとほとんどの人が罹患者
歯でビール瓶の蓋を開け、リンゴは皮ごと丸かじり
……あれから40年―。
歯はボロボロ、差し歯、入れ歯、歯科インプラントに頼り、自慢にしていた白い歯も、
いまや昔である。という方も少なくありません。
個人差もあるが40代の頃から歯を失う人が増えはじめ、80代まで生き残る永久歯は数えるほど。
これでは日に3度の食事も楽しめない。こうした歯の衰えを加速させる元凶は、「歯周病菌」です。
「歯周病はかつて不治の病とも言われました。しかし、この10数年で、歯周病の予防や治療研究が
目覚ましく進歩し、進行を阻止することが可能になってきています」
そう語るのは、東京歯科大学・口腔科学研究センターの三浦直准教授です。
三浦准教授は職務中でも歯ブラシを身近に置き、常に歯磨きを欠かさないそうです。
早い人で、乳歯が生えはじめる生後6カ月後あたりから始まる歯周病は、
50代以上になるとほとんどの人が罹患者になりえます。
厚生労働省の「歯科疾患実態調査」(2016年)によると、歯周病は15・6歳あたりから顕著になり、
60歳代でピークを迎えます。

一体、どのような病気なのか。
三浦准教授によると、通常、口の中には、およそ500種類の細菌が棲み、
食事後などに、ケアを放っておくと、これら細菌の一部が歯の表面に付着してしまいます。
この付着物を「デンタルプラーク」(歯垢)といいます。
付着するこのプラークがクセ者で、1mgにざっと10億個もの細菌が存在し、増殖します。
やがてこの細菌が、歯と歯ぐき(歯肉)の境目(歯周ポケット)に入り、歯の周りの歯肉を破壊し、
歯を支えている骨(歯槽骨)まで溶かします。口臭も発生します。これが「歯周病」です。
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誤嚥性肺炎にも影響する歯周病菌
「ギネスブック」に、世界で最も一般に蔓延している感染症と掲載されている歯周病は、近年、
実にさまざまな病気との関連も明らかにされてきました。それら病名を挙げてみましょう。
1. 肺炎(誤嚥性肺炎)
2. 心臓病
3. 糖尿病
4. 骨粗しょう症
5. バージャー病(手足末端の血管が詰まり、炎症や皮膚に痛み、潰瘍を起こす)

歯周病はなぜ、怖い心臓病との関係も疑われているのでしょうか。
動脈硬化症や大動脈瘤罹患者の細胞を検査すると、数多くの歯周病関連菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス=Pg菌)が
検出されているからだ。このほかには、早産とも関連があるとみられている。
また、誤嚥性肺炎(食事時、飲食物や唾液が気管支や肺に入って生じる肺炎)にも注意が必要です。
日本人の三大死亡原因「がん・心疾患・脳疾患」に続く「肺炎」の要因として、高齢者の「誤嚥性肺炎」があります。
その主要因として「歯周病原性細菌」が指摘されてきました。詳細はまだ不明だが、罹患者の肺から、
「嫌気性グラム陰性菌」(歯周病関連菌の1つ)が高い頻度で検出されているからです。
歯周ポケットで増殖している歯周病菌は、誤嚥により気管支から肺にたどり着く場合があります。
高齢の要介護者は歯のブラッシングがよくできないし、うがいすることもままなりません。
そのために、口の中で増えた歯周病菌が肺に入り、誤嚥性肺炎の原因を作ってしまうのです。
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病気以外のトラブルとしては、歯の治療で、補綴法と言われる「歯科インプラント」に関するものもあります。
抜歯した部位の骨にインプラント体を埋め込み、その上に土台(アバットメント)を連結し、
上部構造と言われる人工歯を装着するのが代表的な施術です。
しかし、いくら人工歯であろうとも、歯周病菌はトラブルを起こします。
これをインプラント周囲炎と言います。
「歯周病菌は、歯周ポケットに限らず、チタン合金などから作られる歯科インプラントにも付着します。
定期的に口腔内を機械的清掃することが必要です。メンテナンスを怠ると、最悪、インプラントが脱落してしまうケースも出てきますから」(三浦准教授)
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サツマイモの蜜」で歯周病がなくなる?
専門医のアドバイスや治療以外に、歯周病の予防策はないのでしょうか。
三浦准教授は、歯周病菌に関し現在、国内外から関心を集めそうな新たな研究に取り組んでいます。
その一端を紹介しよう。

その研究は4年ほど前、偶然に出会った無添加のサツマイモの蜜「あめんどろ芋蜜」に、
強い関心を抱いたのが始まりだったそうです。南薩摩半島を発祥にして300年余の歴史を有する「あめんどろ芋蜜」は、
郷土伝統の「健康食」です。長寿、疫病退散のほか、虫歯になりにくいという言い伝えも残されていました。
この「あめんどろ芋蜜」を三浦准教授は、歯科の二大感染症の予防に利用できないかと思考しました。
文科省所管である日本学術振興会の科学研究助成事業部門に、サツマイモを歯周病予防に応用するというテーマで
研究計画書を提出。ほどなく研究経費が助成され、研究室の歯車が動き始めました。
しかも、歯学の研究者とはいえ三浦准教授は、かつて東大・農学部で学んだ異色の経歴を持ちます。
サツマイモなど食品を材料にした研究に、豊富な知識が後押ししました。ざっと3年に及ぶこれまでの研究実験で、
サツマイモの蜜がおどろくほどの抗菌性、静菌性、さらには歯垢形成をも阻害するといった目を見張る結果が出ました。
例えば「あめんどろ芋蜜」無添加の培養液と、他3種類(安納、薩摩、紫)の「あめんどろ芋蜜」を
それぞれ10%濃度混合した培養液に、歯周病菌(Pg菌)を接種・培養してその生菌数を比較してみました。
結果、無添加の培地が通常のPg菌増殖割合を示したのに対し、「あめんどろ芋蜜」を添加した培地はどれも
増殖が認められなかったのです。
「現在は、実用化を目指し、さらなる研究に取り組むべく準備中です。無添加のあめんどろ芋蜜は、何よりも天然の植物由来
などで化学薬品や人工甘味料と比べて無害かつ副作用の心配はない。広範囲な分野に応用できます」(三浦准教授)
しかも、イヌなどペットの歯周病にも有用だといいます。
口腔ケア製品として活用できれば、歯周病がなくなる日が来るかもしれません✨






