診療928日目、「よく噛むと頭がよくなる」は本当?
2026年3月16日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
「よく噛むと頭がよくなる」は本当?
噛む力と脳の発達の、意外と深い関係

「よく噛んで食べなさい」
子どもの頃、何度も言われた言葉ではないでしょうか。
実はこの言葉、ただの生活習慣の注意ではなく、脳の発達と深く関係する、とても理にかなったアドバイスなのです。
近年の研究や人類進化の視点から見ても、「噛む力」は、私たちの脳と切っても切れない関係にあります。
人類は「噛まなくなって」脳が進化した?
少し意外に思えるかもしれませんが、人類の進化をたどると、
顎は小さくなり、脳は大きくなったという変化が見られます。
約200万年前の人類は、硬い木の実や生肉などを噛むために、大きくて頑丈な顎を持っていました。
しかし火を使い、食べ物を加工し、やわらかく調理するようになると、強い噛む力がそれほど必要なくなります。
その結果、顎は少しずつ小さくなり、余ったエネルギーが脳の発達に使われるようになった、と考えられています。
つまり、噛む力と脳の進化は、バランスを取りながら変化してきたのです。
それでも「噛むこと」が脳に必要な理由
では、現代人は噛まなくていいのでしょうか?
答えは、はっきり「NO」です。
噛むという動作は、脳にとって非常に強い刺激になります。

- 歯根膜(歯の根の周り)
- 顎の筋肉
- 顎関節
これらには多くの神経が集まっており、噛むたびにその刺激が脳へ送られます。

特に刺激されるのが、
・前頭葉(考える、判断する)
・海馬(記憶をつかさどる)
です。
実験で分かっている「噛む力と脳」の関係
動物実験では、やわらかい餌ばかりを与えられた個体は、
- 記憶力が低下
- 学習能力が落ちる
- 脳の神経細胞が減少
すると報告されています。
人間でも、よく噛んで食べる人ほど、
- 集中力が高い
- 記憶力が安定している
- ストレスを感じにくい
といった傾向があることが分かっています。
「噛む」ことは、脳にとってのスイッチのような役割を果たしているのです。
思春期は「噛む力」と「脳」が同時に育つ時期
高校生の時期は、脳がまだ成長途中です。
特に前頭葉は、20代前半まで発達が続くと言われています。
この時期に、
- 早食い
- やわらかい物ばかり
- 噛まずに飲み込む
といった習慣が続くと、脳への刺激が不足しがちになります。
一方で、しっかり噛む習慣があると、
- 授業中の集中力
- 考える力
- 感情のコントロール
にも良い影響が期待できます。

歯並びや噛み合わせも、脳と無関係ではありません
歯科の立場から見ると、噛む力は「歯並び」や「噛み合わせ」とも深く関係しています。
歯がうまく噛み合っていないと、
- 片側だけで噛む
- 噛む回数が減る
- 顎の動きが小さくなる
といった状態になりがちです。
その結果、脳への刺激も偏ってしまいます。
歯並びや噛み合わせを整えることは、見た目だけでなく、体と脳をバランスよく使うための土台作りでもあります。
噛むことは、ストレス対策にもなる

噛む動きには、ストレスを和らげる作用もあります。
ガムを噛むと落ち着く、という経験がある人も多いでしょう。
噛むことで、脳内に
- セロトニン
- ドーパミン
といった、気分を安定させる物質が分泌されます。
勉強や人間関係でストレスを感じやすい思春期だからこそ、「噛む習慣」は心の安定にも役立つのです。
今日からできる「脳にいい噛み方」
難しいことは必要ありません。
- 一口ごとに、少しだけ噛む回数を増やす
- 姿勢を正して食べる
- 片側だけで噛まない
- スマホを見ながら食べない
これだけでも、噛む質は大きく変わります。
まとめ
噛むことは、過去と未来をつなぐ行為
77万年前の人類の顎の化石から、私たちの歯並びの悩みまで。
噛むという行為は、人類の進化の中でずっと重要な役割を担ってきました。
そして今も、
あなたの脳を育て、支え続けています。
食べることは、生きること。
噛むことは、考える力を育てること。
そう思って、今日の一食を少しだけ意識してみてください。
それは、未来の自分の脳への、立派な投資です。






