診療880日目、虫歯治療は「削る」から「修復」へ変わる!?

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診療880日目、虫歯治療は「削る」から「修復」へ変わる!?

2026年1月5日

こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。

新年あけましてておめでとうございます!

2026年、本年も駆け抜けていきます!

ブログの更新も一新してルールづけていくのもいいのかなと

昨年末より考えだしております。

週に一度、もしくは二度、など頻度を決めていくのもいいのでは?と。

テーマは引き続き、「歯」に関して、広く身体に関してとそこから近しい話題が中心と、

その時々の時勢を組み合わせられたら理想です。

では、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます☺️

 

虫歯治療は「削る」から「修復」へ

― エナメル質を再生するゲル研究の現在地と日本導入の可能性 ―

歯の表面を覆うエナメル質は、人体の中で最も硬い組織の一つです。

しかし、その強さとは裏腹に、一度失われると自然に再生することはありません

このため、虫歯治療では長年にわたり「悪くなった部分を削り、詰める」という方法が標準とされてきました。

ところが近年、この常識を根本から揺るがす研究が注目を集めています。

それが、初期のエナメル質損傷を“修復”できる可能性を持つ生体模倣型ゲル素材の開発です。

この研究は、虫歯治療を「治す(治療)」から「戻す(修復・再生)」へと

進化させる可能性を示しており、2025年には世界的に大きな話題となりました。

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エナメル質はなぜ再生できないのか

エナメル質は、発生段階でアメロブラスト(ameloblast)という特殊な細胞によって形成されます。

これらの細胞は歯の完成とともに消失するため、成人後にエナメル質が削れたり脱灰したりしても、

生体内で新しく作り直す仕組みが存在しません

従来の予防歯科で用いられてきたフッ化物は、「再石灰化」を促す効果はありますが、

これはあくまで既存構造の補強に過ぎず、失われたエナメル質の構造そのものを再構築するものではありませんでした。

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画期的とされる「エナメル質再生ゲル」の正体

2025年に注目された研究は、英国・ノッティンガム大学(University of Nottingham)の研究チームによるものです。

彼らが開発したのは、エラスタイン様リコンビナマー(ELR)と呼ばれる人工タンパク質を基盤としたゲル素材で、

エナメル質が作られる際の分子環境を人工的に再現(生体模倣:biomimetic)しています。

このゲルを初期脱灰を起こした歯面に塗布すると、歯の微細構造に浸透し、唾液中に存在する**カルシウムイオン(Ca²⁺)と

リン酸イオン(PO₄³⁻)**を取り込みながら、ハイドロキシアパタイト結晶を規則正しく成長させる足場(スキャフォールド)として機能します。

この現象はエピタキシャル鉱化(epitaxial mineralization)と呼ばれ、

既存のエナメル質と連続性を持った結晶成長が起こる点が、従来の再石灰化材料との決定的な違いです。

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実験結果が示す具体的な成果

研究では、ヒトの抜去歯を用いた実験が行われ、以下の点が確認されています。

  • 約2週間で10μm前後の新しいエナメル質様層が形成
  • 電子顕微鏡解析により、天然エナメル質と類似した結晶配列を確認
  • ナノインデンテーション試験で、自然エナメル質に近い硬度・耐摩耗性を示す
  • 酸性環境に対する耐性も、従来材料より高い傾向

これらの結果は、単なる「コーティング」ではなく、構造的修復が起こっている可能性を示唆するものです。

どこの国・どの機関が先進的に取り組んでいるのか

現時点で、最も先行しているのは英国です。

  • 英国:ノッティンガム大学

生体模倣型エナメル質再生ゲルを開発し、国際的な査読誌に論文を発表しました。

基礎研究としては非常に完成度が高く、世界的に注目されています。

  • 英国:キングズ・カレッジ・ロンドン

羊毛由来のケラチンなど、自然由来タンパク質を用いた歯質修復・強化研究を進行中です。

アプローチは異なるものの、同じ「削らない歯科医療」を目指す流れにあります。

この分野では、英国が明確に先進国の立場にあります。

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日本への導入は決まっているのか?

結論から言うと、2025年時点で、

日本国内でこのエナメル質再生ゲルを用いた臨床試験や治験が公式に決定しているという情報はありません

  • 厚生労働省の臨床研究データベース(jRCT)への登録:なし
  • 日本国内での治験開始時期:未定
  • 医療機器・医薬品としての承認申請:未発表

つまり、「すぐに日本の歯科医院で使える技術」ではありません

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🔽それでも日本導入の可能性がある理由

一方で、日本での将来的な導入可能性が低いわけではありません。

  • 日本では、歯質再石灰化・接着歯学・再生医療の基礎研究が非常に活発
  • 科研費によるエナメル質形成機構の分子研究が継続中
  • 歯髄再生治療など、再生歯科医療の臨床実績がすでに存在

これらの背景から、

国際共同研究として日本が臨床試験に参加する可能性や、

日本独自の改良型材料が開発される可能性は十分に考えられます。

臨床導入までの現実的なタイムライン(予測)

再生材料が一般診療に導入されるまでには、通常以下の時間を要します。

 今後・・・

  • 3〜5年:前臨床(動物実験・安全性評価)
  • 5〜8年後:ヒトを対象とした初期臨床試験
  • 10年前後:製品化・一部臨床応用
  • 10〜15年後:保険適用・標準治療化の可能性

エナメル質再生ゲルも、このスケジュール感で見るのが現実的です。

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歯科医療にもたらす本当の価値

この研究の本質的な価値は、「虫歯が治るかどうか」だけではありません。

  • 歯を削らない
  • 歯の寿命を延ばす
  • 予防と治療の境界をなくす
  • 患者の身体的・心理的負担を減らす

こうした歯科医療の哲学そのものを変える可能性を秘めています。

 

エナメル質再生ゲルは、まだ研究段階にあります。しかし、

「夢物語」ではなく、確かな科学的エビデンスに基づく現実的な未来技術であることは間違いありません。

日本での臨床導入には時間がかかるものの、

この研究が示した方向性は、これからの歯科医療を確実に変えていくでしょう。

削らない歯科医療の次の一手として、今後も注目すべきテーマです。

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