診療530日目、お子さんの5人に1人?!エナメル質形成不全症(MIH)とは?
2024年7月9日
お子さんの5人に1人?!
エナメル質形成不全症(MIH)とは?
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。お久しぶりです!
歯の表面に、白色や茶色をした部分を見かけることがあります。
しかし、全てがむし歯ではありません。歯が生えた直後から見られる生まれつきの変色ということもあります。
「エナメル質形成不全症」といって、歯の表面のエナメル質が生まれつきうまく作られず、
変色や欠けがみられる状態です。乳歯にも永久歯にも見られ、その部分は歯の質が弱くなっています。
軽度の場合は、限局性の変色があるだけですが、重度の場合は、エナメル質の表面に環状のくぼみ、
不規則なクレーターを生じ、エナメル質の大部分が形成されないこともあります。
前歯にできる場合はそこから虫歯になることは少なく、主に見た目の問題になります。
奥歯にできている場合は、そこから虫歯になりやすく、虫歯になると大変進行が早いので、
注意深く慎重な診査と予防が大切です。
.
では、「エナメル質形成不全症」の原因は何でしょうか?
①全身的な要因
胎児期、つまり母親の妊娠期に何らかの全身的障害(例えば、母体の栄養障害、病気、内分泌異常、
感染、代謝異常、特定薬物の長期継続投与、ホルモン異常、ビタミン不足、など)で歯の形成、
成長が一時的に阻害されることによりエナメル質形成不全が起こります。
エナメル質形成不全が 全身的な原因による時は、1本だけではなく複数の歯に症状が出てくることが多いです。
多くの場合,左右対称に現れると言われています。
②局所的な要因
乳歯に外傷を受けた場合、乳歯のむし歯が大きく長期間化膿状態であった場合、後続する永久歯に
影響が出てエナメル質形成不全がみられる事があります。1~2歯に限局し,左右対称に認められることは少ないです。
「エナメル質形成不全症」は、6歳臼歯(第一大臼歯)と前歯(中切歯、側切歯)によく発症しやすい、
と言われています。発症に関してさまざまな要因との関連が疑われているようですが、
どれも確証は得られていないようです。前述したように、奥歯である6歳臼歯の方が脆く、
むし歯になりやすいと言われています。
6歳臼歯は約80年間使うとても大切な歯です。この歯をむし歯にしてしまったら大変です。
6歳臼歯が生えてきたら、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
.
ただもし、「エナメル質形成不全症」という診断を受けても悲観することはありません。
適切に予防していけば大丈夫です。
そもそも皆様にはなじみのない言葉であるエナメル質形成不全ですが、
意外と有病率は高く日本で19.8%とおよそ5人に一人の割合で存在するのです。
毎日の適切なブラッシング(ホームケア)と、歯科医院での定期的な高濃度フッ素塗布(プロフェッショナルケア)で
十分に予防可能です。すでに歯が欠けている場合は、むし歯になっていなくてもプラスチックなどをつめて治療することがあります。
また、仮にむし歯になってしまっても、大きく崩れる前に小さな補強をすることで、できるだけ長持ちさせることが重要です。
歯科医院での定期的な検診とメインテナンス、とても大切です。