診療887日目、改めて知ろう「顎関節症」
2026年1月17日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
顎関節症(がくかんせつしょう)ってなに?

顎関節症とは、あごの関節やその周りの筋肉・組織に負担がかかり、あごの動きに不調が出る状態のことです。
決して珍しいものではなく、一生のうちに2人に1人が経験するとも言われています。
今は特に症状がなくても、生活習慣によっては、誰にでも起こる可能性があります。
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⚫︎どんな症状が出るの?
顎関節症の症状は人によって異なります。

- 口を開け閉めすると、耳の前やあごが痛む
- 口を動かすと「コキッ」「カクッ」と音がする
- 口が大きく開かない
- 頭痛、首こり、肩こりが続く
軽い場合は、音がするだけで痛みがないことも多く、「そのうち治るだろう」と放置されがちです。
しかし症状が進むと、口が開きにくくなったり、食事や会話がつらくなったりすることもあります。
原因はひとつじゃない
以前は「かみ合わせが悪いから」と言われていましたが、
現在ではいくつもの要因が重なって起こることが分かっています。
- ストレス
- 歯ぎしり・食いしばり
- 長時間のスマホ操作
- 勉強やゲームに集中している時の緊張
- 硬い物をよくかむ習慣
- あごをぶつけた経験
特に高校生は、スマホを見ながら無意識に歯を食いしばる、
テスト勉強中に奥歯に力が入る、
ゲーム中に歯をぐっと当てているといったことがよくあります。
自覚がないまま、あごに負担をかけ続けているケースも少なくありません。
無意識のクセ「TCH」に注意
TCH(ティース・コンタクティング・ハビット)とは、
「何もしていない時でも、上下の歯が触れているクセ」のことです。
本来、リラックスしている状態では
👉 歯と歯は少し離れているのが正常です。

歯が当たっているだけでも、あごの筋肉はずっと働き続けます。
この状態が長く続くと、筋肉や関節に疲れがたまり、顎関節症につながります。
⚫︎TCHセルフチェック
次のうち、当てはまるものはありませんか?
- スマホや勉強中、気づくと歯が当たっている
- 何もしていない時でも、上下の歯が触れていることが多い
一つでも当てはまれば、歯を離す意識を持つことが大切です。
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◇TCHは異常な状態
前述のTCHについても少しお伝えしたいと思います。
人は安静にしている時、歯は上下が接触していないのが普通です。
ただ、かんでいなくても、くっついているだけでそしゃくに関係する筋肉は働きます。
もし安静にしていても上下の歯が接触している自覚があれば、異常な状態と思っていただいていいでしょう。
この状態に気付いたら、すぐに歯を離す癖をつけることをお勧めします。
顎関節症の治療法の一つとして、家の中、壁やトイレ、風呂場など目立つ場所に「ティース・アパート(歯を離す)」と
書いた張り紙をしておくと効果的と言われています。これによって、無意識に顎への負担を減らすことができます。

軽くマッサージで表情筋を緩ませることもお勧めです。
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⚫︎顎関節症「5つのタイプ」

① Ⅰ型:筋肉の疲れタイプ
しゃべりすぎや大声など、顎の酷使によって起こる筋緊張型です。
② Ⅱ型:関節の捻挫タイプ
歯ぎしりや食いしばりによって、関節が傷ついた状態です。関節じん帯の損傷によります。
③ Ⅲ型:クッション(関節円板)のズレタイプ
顎関節には下顎骨と頭蓋骨の間に関節窩(かんせつか)が形成されます。この骨と骨の間には関節円板という組織が介在し、
顎をスムーズに開閉させる役割があります。この関節円板の位置がずれてしまった状態です。
知らないうちに戻ったりずれたりを繰り返す場合もあれば、ずれたまま位置が戻らないこともあります。
④ Ⅳ型:骨が変形するタイプ
長期間、強い負担がかかり続けて起こります。変形性顎関節症と言われ、
繰り返し慢性的な負荷が顎関節にかかるために起こります。
⑤ V型:その他のタイプ
◇まず安静で改善を
顎関節症の治療として、まず考えられるのは顎の安静です。安静とは「口を大きく開けない」
「長時間しゃべらない」「硬い物をかまない」です。余計に硬い物を摂取しようとしたり、
口を大きく開けようとしたりする人もいますが、逆療法になるので控えてください。
不意のあくびも要注意です。
Ⅰ型とⅡ型に関しては、安静だけでも改善する可能性が高いでしょう。Ⅲ型とⅣ型については、
安静に加え、顎の位置を調整するスプリント(マウスピース)治療が効果的な場合もあります。
その他、顎の関節も膝の関節と同じように関節炎によって水がたまることもあるので、
関節腔内の洗浄をしたり、薬を注入したりする治療もあります。
外科的手術によって、ずれた関節円板の位置を戻すことが実施・検討された時代もありましたが、
現在ではあまり一般的ではありません。
⚫︎放置するとどうなる?
「痛くないから大丈夫」と思って放置すると、
痛みが出てから治るまでに時間がかかることがあります。
- 口が開きにくくなる
- あごを動かすたびに痛む
- 食事や会話がストレスになる
早い段階で気づき、負担を減らすことが重要です。
治療の基本は「あごを休ませる」
顎関節症の治療で最も大切なのは、無理をしないことです。
- 口を大きく開けない
- 長時間しゃべらない
- 硬い物を無理にかまない
「動かしたほうが治る」と思って無理をすると、逆効果になることもあります。
あくびの時も、できるだけ口を大きく開けすぎないようにしましょう。
症状が続くときは歯科医院へ
あごは、左右がつながっている唯一の関節で、とてもデリケートです。
痛みや違和感が続く場合は、早めに歯科医院で相談してください。
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最後に
顎関節症は、
気づかないうちに負担がたまり、限界を超えた時に症状が出ることが多いトラブルです。
今は自覚がなくても、
「歯が当たっていないかな?」と時々意識するだけで、将来のリスクは下げられます。
あごも毎日使う大切な体の一部です。
少しだけ、いたわってあげましょう。






