診療331日目、乳児期の親との唾液接触、学齢期のアレルギー発症リスク低下と関連
2023年9月12日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
診療327日目のブログ「乳幼児期における親との食器共有について」に関連した内容です🤝

唾液接触による乳幼児のアレルギーに関するお話です!
乳児期の親から子への唾液接触が
アレルギー発症に関連するか?

和歌山県立医科大学は5月24日、日本人の学齢期の子とその親を対象に大規模な疫学調査を実施し、「乳児期の唾液接触と学齢期のアレルギー発症リスク低下との関連性」をアジアで初めて明らかにしたと発表した。この研究は、同大皮膚科学講座の神人正寿教授、久保良美博士研究員ら、兵庫医科大学、獨協医科大学、高槻赤十字病院の研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Allergy and Clinical Immunology Global」に掲載されている。
生活の質に大きな影響を与え、社会に負担を強いている湿疹(アトピー性皮膚炎)、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、喘息などのアレルギー性疾患は、近年、先進国を中心に世界的に増加している。アレルギー性疾患増加の原因としては、先進国のような清潔な環境下において感染症の発生率が低下したことによりアレルギー性疾患の発生率が増加したとする衛生仮説が提唱され、その後、常在菌や共生菌(腸内細菌叢)と免疫の発達との関連性について研究が進められている。
いわゆる、アレルゲン耐性の発達は、腸内細菌叢の多様性、乳幼児期の微生物による免疫刺激、出生時の母親からの微生物獲得など、いくつかの要因に依存すると考えられている。乳幼児期の微生物刺激が不十分であると、皮膚などのバリア組織が過敏になり、2型免疫反応(アレルギー性疾患)が亢進する可能性がある。口腔は消化管に次いで豊富な微生物叢を有しており、動物およびヒトの研究から、口腔内の微生物が腸に移動して腸内細菌叢を変化させ、そのために免疫防御を変化させることが示唆されている。
2018年にDzidicらは、口腔内細菌叢の組成の初期の変化が免疫の成熟とアレルギーの発症に影響を与えることを報告した。2013年のスウェーデンにおけるHesselmarらの出生コホート研究では、親の唾液で洗浄したおしゃぶりの使用により生後18か月の湿疹や喘息発症リスクと生後36か月の湿疹発症リスクが有意に低下したと報告された。その理由として、親の唾液から乳児に移行した口腔微生物による免疫刺激が関与している可能性が示唆されている。2015年の久保、吉澤の研究においても、乳児期に噛み与えを行うことで、学童期のアレルギー発症リスク、特に湿疹の発症リスクが低下する可能性が示唆され、養育者から乳児への口腔内微生物の移行による免疫刺激が関与する可能性が推測された。一方、学齢期におけるアレルギー発症とその関連性を調べた研究はほとんどなかった。
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日本の小中学生と親対象、
多施設共同で疫学調査
そこで今回、研究グループは、乳児期(生後12か月未満)の唾液接触が、日本人の子どものアレルギー発症リスクを低下させるという仮説を立てた。仮説を検証するために、日本の小中学生とその親を対象に、国際小児喘息・アレルギー研究(International Study of Asthma and Allergies in Childhood:ISAAC)の質問を含む91の自記式質問を用いた横断的デザインによる疫学調査を実施し、多施設共同研究を行った。
地域的な偏りを減らすために、石川県と栃木県の2県において調査を実施。小学校1~6年生と、中学校1~3年生に無記名の自記式質問紙を配布し、自宅で保護者とともに記入したものを回収した。対象は、2016年に、石川県の小学校3校と中学校3校の児童1,718人とその保護者、2017年に、栃木県の小学校3校と中学校2校の児童1,852人とその保護者。アンケート調査票は、ISAAC調査票からの質問とオリジナルの食物アレルギー・口腔アレルギーに関する質問41問と、母親の妊娠期と子どもの乳児期の生活習慣または環境に関する質問など50問の2部構成で、合計91問だった。「記述統計」と「カイ二乗検定」、または「フィッシャーの正確検定」を適宜用いて評価。多変量ロジスティック回帰分析を行い、小中学生の湿疹(アトピー性皮膚炎)、アレルギー性鼻炎、喘息の発症と、乳児期(生後12か月未満)の食器の共有および親の唾液によるおしゃぶりの洗浄を介した唾液接触との独立した関連性を評価した。
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乳児期の食器共有が、
学齢期の湿疹発症リスク低下と有意に関連
有効回答率は94.7%だった。子どもの平均年齢と中央値は、それぞれ10.8±2.7歳と11歳(四分位範囲9~13歳)。乳児期の食器共有による唾液接触は、学齢期の湿疹発症リスクの低下と有意に関連していた(オッズ比[OR] 0.53; 95%信頼区間[CI] 0.34-0.83)。母親のアレルギー歴、妊娠中の母親の喫煙、親の口腔感染症の知識で調整した後も有意な関連が認められた(OR 0.52; 95%CI 0.32-0.84)。

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親の唾液によるおしゃぶり洗浄、
学齢期の湿疹・アレルギー性鼻炎発症リスク低下と有意に関連
乳児期の親の唾液によるおしゃぶりの洗浄を介した唾液の接触は、学齢期の湿疹(アトピー性皮膚炎)(OR 0.24; 95% CI 0.10-0.60)とアレルギー性鼻炎(OR 0.33; 95% CI 0.15-0.73)の発症リスクの低下と有意に関連し、同様の因子で調整後も有意な関連が示唆された(湿疹:OR 0.35; 95% CI 0.13-0.91、アレルギー性鼻炎:OR 0.32; 95% CI 0.14-0.72)。親の唾液によるおしゃぶりの洗浄と学齢期の喘息については、今回はっきりとした有意差は見られなかったが、発症リスク低下の可能性が示唆された(調整後OR 0.17; 95% CI 0.02-1.31)。
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小児のアトピー性皮膚炎など発症予防の応用、さらなる研究へ

乳児期の親から子への唾液接触の行為は、現在、日本においては、口腔衛生学的な見地などから、減少している。今回の疫学調査では、乳児期の唾液接触としての食器の共用や、親の唾液により洗浄したおしゃぶりの使用による学齢期のアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の発症リスク低下の可能性が考えられる。アレルギー発症リスク低減のメカニズムを明らかにし、これらの知見を小児のアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、喘息の発症予防に応用する方法について、さらなる研究が必要であると考える、と研究グループは述べている。

診療330日目、【実践】千年続いた本物のお歯黒を塗って、色素沈着を調べてみた。
2023年9月11日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
皆さま、時代劇・歴史ドラマはお好きですか。
これらは映像作品であり、ストーリーや登場人物の衣装・生活様式は史実とは異なります。当時の風習通りに再現されないことも多いです。
その有名な例が「女性の顔」。
本来当時の女性は「お歯黒」を塗って黒い歯になっているはずですが、白い歯のままになっています。女優さんの顔は美しいままですね。
お歯黒作りには、実は植物が使われています。
植物利用の研究をしている身としては気になるので、自分の歯で試してみました。
という、チャレンジャーな方の体験記を見つけましたので、こちらにシェアします🤝✨
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お歯黒(おはぐろ)とは
歯を黒く染める化粧法のこと。
日本では古代から存在したとされ、主に民間では明治時代末期まで、東北など一部地域では昭和初期まで、特に既婚女性の風習として見られた。

江戸時代以降は皇族・貴族以外の男性の間ではほとんど廃絶、既婚女性、18~20歳以上の未婚女性、および、遊女、芸妓の化粧として定着した。
1870年3月5日(明治3年2月5日)、政府から皇族・貴族に対してお歯黒禁止令が出され、それに伴い民間でも徐々に廃れ(明治以降農村では一時的に普及したが)、大正時代にはほぼ完全に消えた。
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きれいに施されたお歯黒には、歯を目立たなくし、(かつての人々の一般的な審美観からみて)顔つきを柔和に見せる効果がある。むらなく艶のある漆黒に塗り込めたものが美しいとされ、女性の化粧に欠かせないものであった。
歯科衛生が十分に進歩していなかった時代にあって、お歯黒は、歯並びや変色を隠すことができたほか、その染料が口腔内の悪臭・虫歯・歯周病に予防効果を持ち、口腔の美容と健康の維持のため欠かせないたしなみであった。
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⇒予防歯科材料としての有効性
タンニンを主成分とする「ふし粉」と酢酸第一鉄を主成分とする「鉄漿水」(かねみず)と呼ぶ溶液からなり、お歯黒筆あるいは房楊枝を用いて交互に塗布していた。タンニンは、歯のタンパク質に作用してこれを固定し、細菌による溶解を防ぎ、第一鉄はリン酸カルシウム作用してその耐酸性をあげていた。さらに、空気で酸化されて生成された第二鉄はタンニンと結合してタンニン酸第二鉄の緻密な膜となり表面を覆い細菌から歯を保護していた。すなわち、お歯黒は歯の無機質および有機質との両面から歯質を強化し、かつ表面を緻密な膜で覆い歯を保護していた。
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更に、お歯黒の材料は歯垢をよく取り除いておかないと歯に染まらなかったので、当時の女性たちは楊子で丹念に取り除いていた。つまり効果的に歯磨きもしていたわけで、これも虫歯予防に重要なことでした。
私たち日本人の先人が古代から予防歯科材料を開発し実践していたことは、歯科医学の歴史の中で特筆されるべきことでした。
お歯黒の主成分は、鉄漿水(かねみず)と呼ばれ酢酸に鉄を溶かした茶褐色の液体。
その鉄漿水と、草木染めでもよく使われる植物染料「ふし粉」の主成分のタンニンと結びついて黒く発色させて歯を黒くします。
ちなみに、アマゾンで買える「お歯黒」は、墨粉末の入ったワックスやイカスミパウダーが材料で本物ではありません。

お歯黒の作り方概略(1例です)
材料:日本酒、米、鉄
容器に日本酒を入れ、米を粥状に炊いたものを木綿の布巾などで濾して、その汁を容器に加える。そこに加熱して赤くなった鉄片を入れる。
よく混ぜて密封し、日の当たらない所で保管し、3~4か月で鉄漿水完成。
これを沸かし、ふし粉(植物の粉)を混ぜて歯に筆や布で塗布する。
1日3回、3日間塗ってみた!
作って試してみたのですが、塗ったときはふし粉成分のタンニンにより歯肉が引き締まる感覚がありました。
昔の人は歯磨きをしてからお歯黒を塗っていたようなので、私も歯磨きをしてから塗っていたのですが、2回目のお歯黒を塗る前に歯磨きをすると前回のお歯黒がほとんど取れてしまいました。
また、お歯黒を塗って時間が経つと、舌先でこすれるのか少しずつ薄くなってきます。
結論、全9回塗りましたが、毎回白い歯に塗る感じでした。なので、9回目を塗った後に歯磨きをすると白い歯に戻りました。
2日後、定期検診でお世話になっているかかりつけの歯医者で、お歯黒を塗った歯を見せて歯科衛生士さんにチェックして頂きましたが、プロから見ても全く色素沈着はありませんでした。
専門家の方に伺うと、1年くらい継続しないと表面は黒くなっても歯自体は黒くならないそうです。ちょっと残念・・・。

千年続いたお化粧文化ですが、今となっては奇習と見なされてしまいました。
3日程度では色素沈着しないので、良ければ当時のお化粧を試してみてください。

診療329日目、ホームページの歯周病ページをリニューアル準備中です!
2023年9月11日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
題名の通り、歯周病ページを大幅に加筆しまして、リニューアル準備中です!
きっかけは通院頂く患者様の歯周病への認識を高めて、より健康になって頂きたいからです✨
以下、ブログ担当がホームページ会社さんへ説明するための資料として作ったものをご紹介します!
歯を失う原因の第1位は歯周病であることを皆さんはご存知でしょうか。
2001年にギネス記録に登録され、記述されています。
“歯周病は人類史上、最も感染者数の多い感染症である。” “全世界で最も蔓延している病気は歯周病である。地球上を見渡してもこの 病気に冒されていない人間は数える程しかいない。”
その後20年経ちますが、世界一を破られる事なく現在に至ります。 日本でも、厚生労働省が平成23年に行いました歯科疾患実態調査で、成人の約8割以上で、歯周病の症状があったという報告があるそ うです。
↓ ギネス登録されている人類史上、最も感染者が多い感染症をご存知でしょうか? (2001年にギネス世界記録に認定されました)
「歯周病ってどんな病気?」
歯周病とは、歯茎(歯肉)と歯を支える骨(歯槽骨)が減ってしまう病気です。 歯肉だけの病気だと思っている方が多いですが、口の中の歯周病菌が増殖して毒素を出すこと で、歯肉と歯を支えている骨が破壊されます。放っておけばおくほど進行します。 あごの骨が溶け、支えを失くした歯は、突然ポロリと抜け落ちてしまいます。 歯周病は虫歯と並び、口の中の2大疾患です。
「歯周病の恐ろしさ」
なぜ治療を受けている人が少ないのでしょうか。 歯周病はかなり病気が進行するまで、目立った症状が現れません。 そのため「歯が揺れてよく噛めないな」といった症状が出た時には、歯周病はかなり進行してい ます。「ここまで悪化しては手遅れです。歯を抜くしかありません」と最悪の事態を宣告されるこ とも少なくありません。
歯周病には、かかりやすい年齢があり、ボーダーラインは30代と言われています。 40~50代では、歯周病を発症している方、重症化している方の割合は非常に多くなってきます。 とにかく早期に発見し、治療を受け、健康な状態を維持することが重要になります。
「歯周病の進行と症状」
歯肉炎 歯茎からの出血や腫れがみられ、歯茎が少し下がった状態。 この段階ならほとんど元通りに治すことができます。
軽度の歯周炎 歯茎だけでなく、あごの骨が減り始めた状態。 この段階ならまだ歯を抜かずに済みます。
中度の歯周炎 あごの骨がかなり減ってしまった状態。 痛みや歯が揺れるなどの症状が出始めます。 まだ歯を抜かずに済む可能性があります。
あごの骨がなくなってしまい、歯が抜ける寸前の状態。 再生療法を行えば、歯を抜かずに済む可能性もありますが、抜歯になるケースも多いです。
「歯周病の厄介な4つの点」 1自覚症状がなく、発見が遅れてしまうケースが多い 2溶けた骨は取り戻すことができない 3症状が悪化するにつれて進行スピードが速くなる 4口の中だけでなく全身に悪影響を及ぼす
「あなたの命を脅かす」
歯周病が悪化すると、増殖した歯周病菌が血管の中に入り込み毒素を出します。この毒素はコレ ステロールを血管内に沈着させて血管を狭めたり、血管の細胞を傷つけたりして、動脈硬化や心 筋梗塞を引き起こすのです。
現在、関係があると考えられている病気には、動脈硬化などの血管系の病気、脳梗塞、脳卒中、 心臓疾患病、糖尿病、腎臓病、関節リュウマチ、肺炎などの呼吸器疾患、早期低体重児出産など が挙げられています。
「チェックしてみましょう!歯周病チェックリスト」
歯磨きをすると血が出る
歯茎が赤く腫れている
喫煙しているまたはしていた
歯茎がむず痒く、歯が浮いたような感じがする
口臭がある
歯が伸びた気がする
「歯周病は治るの?」
一度失った歯槽骨は元には戻りません。つまり、自然治癒しません。 しかし、症状が出たり悪化したりしないようにコントロールすることはできます。 このコントロールは、歯医者さんで薬などによる治療を受けるだけでは実現できません。 患者さんご自身でのご自宅でのケアが非常に重要になります。
診療328日目、「歯生え薬」実用化目指す・京大ベンチャー
2023年9月8日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です!
以前、歯を生やす「歯生え薬」の実用化に、京都大発のベンチャー「トレジェムバイオファーマ」(京都市)などのチームが取り組んでいますと、紹介しました。(診療300日目を参照ください☺️)
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2024年7月ごろから健康な成人で薬の安全性などを確かめる臨床試験(治験)を始め、2030年ごろの実用化を目指しています。チームは「世界初の試み」としています✨

チームは、歯の成長を抑制するタンパク質「USAG―1」の働きをなくす抗体薬を開発しました。人には乳歯、永久歯とは別に、新たな歯になり得る「芽」のようなものがありますが、通常は生えずになくなります。薬はこの芽に働きかけ、成長を促します。
2018年、歯の数が少ないマウスに薬を投与し、歯を生やすことに成功しました。続いて、人と同様、乳歯と永久歯があるフェレットでは永久歯の内側から新たな歯が生えました!夢が現実化しているようでワクワクしますね。
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おさらいはここまでです!
2025年からは生まれつき永久歯の数が少ない「先天性無歯症」の2~6歳の子どもを対象とした治験を始める予定だそうです!

同社創業メンバーで北野病院(大阪市)の高橋克歯科口腔外科主任部長は「子どもの場合、歯が生えないと顎の骨の発達などにも影響する。歯生え薬で悩みに応えたい」と話しています。
診療327日目、乳幼児期における親との食器共有について
2023年9月7日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
先日見つけた、最新ホヤホヤ・日本口腔衛生学会からの発信です📨

乳幼児期における親との食器共有について
「小さいお子さんと箸や食器を共有すると虫歯菌は移るのか?」という内容です!
発信のきっかけは、乳児期の食器共有などによる唾液接触が、アレルギー発症リスクの低下と関連していたという和歌山県立医科大学の研究結果が報道されたことだそうです。子育てに携わる人々の間では”親の唾液を通してミュータンスレンサ球菌が子どもに感染することで虫歯リスクが上がる”ことが一般的に言われてきました。そのため、和歌山大学の研究を紹介する複数の記事で、”唾液接触による虫歯菌感染”への懸念が触れられていました。 学会は、食器共有による虫歯感染については気にしすぎなくてよい、としているが、その根拠としてまず「親からの口腔細菌感染は食器の共有の前から起こっている」ことを挙げています。
発信の内容を詳しく見ていきましょう!

以前から、親から子どもへのう蝕原因菌の感染を予防するために、親とスプーンやコップなどの食器の 共有を避けるようにとの情報が広がっています。しかし、食器の共有をしないことでう蝕予防できるということの科学的根拠は必ずしも強いものではありません。最近、親の唾液に接触することが子どものアレルギーを予防する可能性を示す研究内容が報道されました。それに付随し、親の唾液からう蝕の原因になるミュータンスレンサ球菌が子どもに感染するリスクを高めると報道で触れられていますので、情報発信をいたします。
親からの口腔細菌感染は食器の共有の前から起こっている
最近の研究で、生後4 か月に母親の口腔細菌が子どもに伝播していることが確認されています。食器の共有は離乳食開始時期の生後 5~6 か月頃から始まりますが、それ以前から親から子どもに口腔細菌 は感染しているのです。日々の親子のスキンシップを通して子どもは親の唾液に接触しますので、食器の 共有を避けるなどの方法で口腔細菌の感染を防ぐことを気にしすぎる必要はありません。
う蝕の原因菌は、ミュータンスレンサ球菌だけではない
親のミュータンスレンサ球菌が子どもに感染することは複数の研究で確認されています。しかし口 腔内には数百種以上の細菌が存在し、ミュータンスレンサ球菌だけでなく多くの口腔細菌が酸を産生 し、う蝕の原因となりますので、ミュータンス連鎖球菌だけがう蝕の原因菌ではありません。
食器の共有に気を付けていても、子どものう蝕に差はなかった。

う蝕は砂糖摂取や歯みがきなど様々な要因で起こるため、食器の共有と子どものう蝕の関連を調べる 際にはそうした要因を考慮する必要があります。う蝕に関連する複数の要因を調べた日本の研究では、3 歳児において親との食器共有とう蝕との関連性は認められていません。
子どものう蝕予防のために
親から子どもに口腔細菌が伝播したとしても、砂糖の摂取を控え、親が毎日仕上げみがきを行って歯垢 を除去し、またフッ化物を利用することでう蝕を予防することができます。特に、フッ化物の利用は多く の論文でう蝕予防効果が確認されている方法です。フッ化物配合歯磨剤の利用方法は 4 学会合同の推奨 方法が出されていますのでご参照ください
診療326日目、災害でも歯のケアは大切!・後編
2023年9月5日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
災害でも歯のケアは大切!少量の水でできる歯磨きや洗浄剤を紹介します
非常持ち出し袋に歯ブラシなどの口腔(こうくう)ケアグッズは入っていますか?災害時にも口内の健康に注意を払わないと、虫歯や歯周病など口の中のトラブルにとどまらず、インフルエンザや誤えん性肺炎など全身へ影響を及ぼす可能性もあるそうです!
水をあまり使えなくてもできる口腔ケアの方法や、非常持ち出し袋に加えたいおすすめ口腔ケアグッズを紹介します。
非常持ち出し袋に歯ブラシなどの口腔(こうくう)ケアグッズは入っていますか?災害時にも口内の健康に注意を払わないと、虫歯や歯周病など口の中のトラブルにとどまらず、インフルエンザや誤えん性肺炎など全身へ影響を及ぼす可能性もあるそうです!
この記事では、水をあまり使えなくてもできる口腔ケアの方法や、非常持ち出し袋に加えたいおすすめ口腔ケアグッズを紹介します。

歯ブラシが手に入らない場合のケア
歯ブラシが手元にないこともあるかもしれません。そういう場合にもできる口腔ケアはあります。
清潔なタオルやティッシュを人差し指に巻き付けて、親指で端をおさえるように持ちます。これで歯の表面をこすって、できる限り歯こうを除去します。歯ブラシのように歯間などの細かい所をきれいにするのは難しいですが、非常時には有効なケア方法です。

持ち出し袋に何を入れる?口腔ケアグッズを比べてみました
災害への備えとしてよく薦められている「液体歯磨」と「歯磨きシート」を実際に使ってみました。
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液体歯磨き&歯ブラシ

液体歯磨きは、口に含んで口内に行き渡らせ、そのまま歯磨きをしたら、その後のうがいは不要です。水が用意できなくてもOKで、液体歯磨きと歯ブラシさえあれば口腔ケアは完了します。水が貴重な災害時には嬉しいですね。刺激の少ない子ども用も販売されています。
液体歯磨きと似た製品に「洗口液」がありますが、洗口液は通常の歯磨き後に口に含んで使うもの。パッケージの裏側に「液体歯磨」「洗口液」と記載があるので購入時に確認してみてください。
使ってみると、チューブタイプの歯磨き粉を使った時よりも泡立ちがないだけで、歯磨きの効果はチューブタイプの歯磨き粉と変わらないと感じました。清涼感もしっかりあります。
大人向けの製品だと刺激の強いものも多いので、家族全員で使うには低刺激のタイプを用意したり、子どもがいれば子ども用製品もそろえたりした方が良いと思います。
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歯磨きシート

歯磨きシートとは、不織布のシートタイプの口腔ケアグッズ。指に巻き付けて歯を擦って歯こうを除去します。使用後のうがいは不要です。
こちらも子ども向けに刺激の少ない商品が販売されています。歯の生え始めた赤ちゃんに使えるものもありますよ。子ども向けの製品はベビー用品売り場で見つけることができます。
今回用意したのは、以下の2製品です。
一般向け:無印良品 指型歯みがきシート
子ども向け:和光堂 にこピカ 大きな 歯みがきシート キッズ りんご味
「無印良品 指型歯みがきシート」は指サック型で使いやすい形状になっています。少々スーッとした刺激があり、使用後は口がさっぱりします。

子ども向けの製品は刺激がなく、甘いリンゴの味もするので小さい子どもでも使いやすいと思います。
使ってみると、歯間などの細かい部分や歯の裏側は磨きにくく感じました。歯ブラシとは違うので仕方がないと思いますが、いつもの歯磨きと比べると、8割くらいはきれいになったかな、という感じ。どうしても磨ききれない部分が残ってしまいました。
歯磨きシートは急場をしのぐのには良いですが、歯磨きシートのケアが長く続くと不安です。持ち出し袋には、歯ブラシと液体歯磨きが良いと思いました。
一方で短期間を想定した防災ポーチには、こちらのシートタイプが持ち運びに便利です。
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まとめ
平常時と同じく災害時にも注意をすべき口腔ケアですが、災害への備えとしては意外と後回しにされがちかもしれません。非常時には自分の身は自分で守るのが基本となります。口腔ケアグッズは、口の中のトラブルや感染症から身を守るために必要なアイテムです。ぜひ災害用備蓄に用意しておきたいですね。

診療325日目、災害でも歯のケアは大切!・前編
2023年9月4日
災害でも歯のケアは大切!
少量の水でできる歯磨きや洗浄剤を紹介します
今年は、関東大震災から100年になります。
そこで、今回は災害時での口腔ケアについてです!
早速ですが、皆さんは非常持ち出し袋に歯ブラシなどの口腔ケアグッズは入っていますか?災害時にも口内の健康に注意を払わないと、虫歯や歯周病など口の中のトラブルにとどまらず、インフルエンザや誤えん性肺炎など全身へ影響を及ぼす可能性もあるそうです!
水をあまり使えなくてもできる口腔ケアの方法や、非常持ち出し袋に加えたいおすすめ口腔ケアグッズを紹介します。
非常持ち出し袋に歯ブラシなどの口腔ケアグッズは入っていますか?災害時にも口内の健康に注意を払わないと、虫歯や歯周病など口の中のトラブルにとどまらず、インフルエンザや誤えん性肺炎など全身へ影響を及ぼす可能性もあるそうです!
この記事では、水をあまり使えなくてもできる口腔ケアの方法や、非常持ち出し袋に加えたいおすすめ口腔ケアグッズを紹介します。

災害時も、口腔ケアはなぜ重要?
歯みがきなどの口腔ケアは虫歯・歯周病予防のためと考えている人が多いと思いますが、口内の細菌を取り去る以外にも重要な意味があるんです。
歯周病菌がインフルエンザウイルスの活性化を促進することがわかっており、毎日の歯みがきは風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症を予防することにもつながります。
特に高齢者では、口腔ケアができないと、口内の細菌が気道に入って誤えん性肺炎も起こりやすくなります。
また、医療が満足に受けられない状況ですから、虫歯になることも避けたいですよね。災害時にも、普段と同じく口腔ケアに気を配ることは大切なんです。

覚えておこう!少ない水で歯磨きをする方法
でも、災害時は断水などで水が十分に用意できないこともありますね。そんな時のために、いつものようにたくさん水を使わなくてもOK!の歯磨き法を紹介します。
一般的なチューブの歯磨き粉を使うと、泡が発生して口をゆすぐための水を多く使いますが、これから紹介する方法で必要な水の量は約50mlと、かなり少量です。

【必要な物】
・歯ブラシ
・ティッシュ1枚
・コップ2つ
・水約50ml
・(あれば)リップクリーム
・(あれば)うがい薬や洗口液・デンタルリンス
【手順】
(1)ティッシュを水で濡らし、唇を軽くふきます。これで口角や唇が切れるのを防ぎます。
(2)コップ2つのうち1つに水を約30ml(=大さじ2杯)入れ、歯磨き後に行ううがい用に取っておきます(コップA)。
もう1つのコップに水を約20ml入れ、歯ブラシのすすぎ用にします(コップB)。

(3)コップBに歯ブラシを浸してから歯を磨きます。だんだんと歯ブラシが汚れてくるので、(1)のティッシュで拭って汚れをできるだけ取ってからコップBですすぎ、また歯磨きする、というのを繰り返します。歯ブラシを濡らして加湿しながら歯磨きをするのが大事です。

(4)歯磨きが完了したら、コップAの水で2回にわけてブクブクうがいをして口の中に残った汚れを取り去ります。2回に分けたほうがきれいになるそうです。
(5)あればリップクリームなどを使って唇を保湿しましょう。
※うがい薬や洗口液・デンタルリンスが手に入れば、(3)のコップBと、(4)のコップAの2回目のうがい時に少量ずつ加えると効果的です。
明日は、歯ブラシが手に入らない場合のケアを紹介します!
診療324日目、親知らず、「抜くか」「抜かないか」
2023年9月2日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
親知らず、「抜くか」「抜かないか」の境界線
無理に抜歯しなくてもいいケースもある
親知らず。大人になってから口のいちばん奥に生えてくるいちばん前から数えて8番目の歯です。正式には「第三大臼歯(智歯)」と呼ばれる親知らずは「抜いたほうがいい」とか「抜いたらすごく腫れた」など、怖くて厄介なヤツというイメージが一般に浸透しています。

どう判断する? 抜くか抜かないかのポイント
そんな親知らずは、本当に抜かないといけなかったり、抜くと必ず腫れたりするのでしょうか。
現代人はあごが小さく、親知らずが真っすぐ出てこられず斜めになっていることが多いため、虫歯になったり腫れたりして、抜かなければならないことが多くなっています。

抜くか抜かないか。そのポイントはどこにあるのでしょうか。まず、何といっても真っすぐ生えているかどうかを見ましょう。真っすぐ生えていて、歯ブラシがしっかりできるようであれば、親知らずは抜かなくてもまったく問題ありません。
一方で、親知らずが斜めを向いていたり、埋まって横を向いていたりすると事情は異なります。そういう人の親知らずは歯ブラシが届きにくく、汚れがたまって虫歯になっていたり、歯茎が腫れてしまったりとトラブルになっているケースが多く見られます。手前の大事な7番目の奥歯が、虫歯になっていたりしても大変なので、抜くことがあります。
歯ブラシがしっかりできているかどうかも非常に重要なポイントです。

斜めを向いていたとしても、しっかり歯ブラシができていれば必ずしも抜く必要はありませんが、真っすぐ生えていても歯ブラシが全然届いていなければ、虫歯や歯周病リスクが高まるので抜かなければならないこともあります。奥歯の奥まで磨く感覚を身に付け、しっかり歯ブラシしましょう。ワンタフトブラシなど奥歯の奥を磨きやすい歯ブラシを使うのも効果的です。
実は最近では親知らずが生えない人も増えてきています。こういうケースで上の親知らずに対して下の親知らずがない、もしくは完全に埋まってしまっていたら、かみ合う相手がいないので、上の親知らずはどんどん下へ落ちてきてしまいます。そうすると、親知らずの手前の歯との間に段差ができ、物が詰まるようになったり、下の歯茎に当たってきたりとトラブルが起きてくるので、抜くことがあります。
親知らずが生えてきたことによって咬(か)み合わせがずれてきたりすると、あごが痛くなったり、歯周病が進行したりと、さまざまなトラブルが起きてきます。横を向いて生えている親知らずによって前歯の歯並びが崩れてきたりすることもあります。まとめれば、歯ブラシができているかどうか、虫歯になっていないか、歯茎が腫れたりしていないかが親知らずを抜くかどうかの重要な判断材料となります。

抜くのを勧めるケース
親知らずはそもそも物をかむのに必要な歯ではありません。そのため、抜きたければ抜いても構わない歯です。積極的に抜くことが勧められるのは次のようなケースです。
1.虫歯が大きい場合
虫歯が小さい場合には治療も可能ですが、大きな虫歯ができている場合、治療が困難を極めるだけでなく、治したとしても予後が悪いため、抜歯を勧めます。
2.歯茎の炎症がひどい場合
智歯周囲炎を頻繁に繰り返していたり、炎症の程度がひどかったりする場合には、抜歯を勧めます。つらい症状に悩まされ続けたり、炎症が広がって重症化し、入院をしたりするようなひどい目に遭う場合もあります。
3.きちんと生える見込みがない場合
親知らずが歯茎から出ていても倒れて埋まっていたり、スペースが足りずに生えきらない場合は、後にトラブルが起こる前に早めに抜くことを勧めます。
4.歯並びを悪くしてしまう場合
親知らずが傾いて埋まっている場合、隣の歯を押して歯並びがずれてしまうことがあります。このような場合には抜かなければ歯並びがどんどん乱れてしまいます。
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口の中に悪影響を与えている場合も要注意
5.口の中の粘膜や顎関節にダメージを与えている場合
親知らずがきちんと生えていて虫歯がなくても、向かいの親知らずが生えていないなどの理由でかみ合わない場合、向かいの歯茎をかんでしまったり、頬粘膜を傷つけ、口内炎を作る原因となります。また、親知らずが生えていることで顎関節にダメージが加わることがあります。
6.口の中の清掃状態が良くない場合
歯磨きがきちんとできていない人は、親知らずが後に痛みや腫れなどのトラブルを起こす危険性が高いため、トラブルのないうちに抜いておいたほうが良いといえるでしょう。
親知らずに痛みがあっても、必ずしも抜かなければならないわけではありません。親知らずは完全に生えきるまで数カ月かかることも珍しくなく、その間歯茎の炎症を起こしたり、隣の歯を圧迫することで時々痛みを出すことは多かれ少なかれあります。
ただ、その親知らずがその後きちんと生える見込みがあり、本人がしっかりと親知らずの周囲を歯磨きするなど、清潔に保っていけるようであれば、親知らずを無理に抜く必要性はありません。むしろ抜歯せずに残しておくことで、将来、他の歯がダメになった場合に移植に利用したりすることもできるため、最近では「残せる見込みのある親知らずは残す」という姿勢の歯医者さんが多いようです。
個人個人の置かれている状況によっても判断基準が変わってきますので、親知らずが痛いときは一度、歯医者で診てもらいましょう。
診療323日目、お口を綺麗にしたら医療費が1000万節約できる・後編
2023年9月1日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
先日の復習からです!
口内環境の悪化がさまざまな全身疾患にもつながる原因は、大きく3つあります。
①歯周病菌の影響
②歯を失うことによる脳の血流不足
③歯を失うことによるタンパク質不足
「歯がない人はボケやすい」は正しい
ところが、歯の本数が少なくなればなるほど、歯根膜のクッションにかかる圧力が減って、脳に送り込まれる血液の量が少なくなります。脳への刺激が減って、脳機能の低下につながるわけです。脳機能の低下は、ヤル気の喪失や、もの忘れを引き起こし、やがては認知症へとつながっていきます。

事実、口の中に残っている歯の数と認知症発症率には、関連があります。東北大大学院の研究グループが、70歳以上の高齢者を対象に行った調査によると、「脳が健康な人」の歯は平均14.9本でしたが、「認知症疑いあり」と診断された人はたったの9.4本でした。つまり、残っている歯が少ない人ほど、認知症になりやすいことが明らかになったのです。

昔から言われている「歯がない人はボケやすい」は、科学的に見ても正しかったわけです。また、咀嚼回数が減ると、唾液の分泌が減ります。唾液には、発がん性物質が作り出す活性酸素を消す作用がある「ペルオキシダーゼ」が含まれているので、唾液の分泌が減ることでがんのリスクが高まることもわかっています。
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3番目の「歯を失うことによるタンパク質不足」について。歯が弱って噛むことができなくなった高齢者は特に、柔らかい食べ物を好むようになります。しかし、良質なタンパク源というのは、鶏胸肉や牛ステーキ、イワシの丸干しなど、基本的に固い食材に多いもの。つまり、固いものを噛みくだける健康な歯がないと、良質なタンバク質の摂取量が減ってしまうことにつながるのです。

固いものが噛めなくなると、その代わりに、やわらかい炭水化物ばかりになってしまう。そうなると、人は一気に弱ります。元気なお年寄りが、ステーキをモリモリ食べているのを見たことがあるでしょう。彼らは、良質なタンパク質を摂取しつつ咀嚼で脳に血液を送り込むことで、体と脳の健康をキープしているのです。
すでに厚生労働省と日本歯科医師会は1989年から「8020運動」を推進していることをご存じの方も多いと思います。
大人の歯は、全部で28本が基本です(他にも親知らずが4本ありますが、これは生えてこない人もいるので、基本数に含めません)。このうち少なくとも20本以上自分の歯があれば、 ほとんどの食べ物を噛みくだくことができ、 死ぬまでおいしく好きなものが食べられて、楽しく健康でいられる。そのような趣旨で始められた運動です。この運動が功を奏して、厚生労働省が発表した2016年調査では、80~84歳の「8020」達成者が51.2%となりました。
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目標は「8020」を超えた「8028」
認知症専門医である私から見ても、この運動は素晴らしいと思います。ただ、個人的な感想を言わせていただくと、私がクリニックで患者さんたちの口の中を見た印象では、残った歯の数が20本というのは、かなりスカスカの状態です。
『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』(かんき出版)。

20本ということは、すでに8本の歯が失われているわけです。例えば、あなたの上の前歯が4本、下の前歯が4本なくなっているところをイメージしてみてください。これって「うわぁ、かなりごっそり抜けてるなぁ」という感じではないでしょうか。
ですから、本気で脳の老化を防ぎたいなら、そして、全身疾患を予防したいなら、「8020」で満足せずに、もっと高いレベルを目指す必要があります。私が推奨したいのは、「8028」! つまり、「80歳で28本、すべての歯を残す!」という気持ちで、口腔ケアを行ってほしいのです。
ただ、日々の歯みがきやケアでは限界があります。年に1度の歯科検診だけに頼らず、3カ月に1度程度は歯科に通って歯石取りやプラーク除去などの定期的なメンテナンスを受けることをお勧めします。
いまや、「歯医者さんに通うのは治療のため」だけではありません。「国民皆歯科健診」の制度の導入からもわかるように、時代は治療歯科から予防歯科へと移り変わろうとしているのです。
診療322日目、お口を綺麗にしたら医療費が1000万節約できる・中編
2023年8月31日
こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。
火曜日は突然ブログをお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。
先日の復習からです!
口内環境の悪化がさまざまな全身疾患にもつながる原因は、大きく3つあります。
①歯周病菌の影響
②歯を失うことによる脳の血流不足
③歯を失うことによるタンパク質不足
歯周病は自然治癒しない
まず、①の「歯周病菌の影響」は、35歳前後から増大し、40代になるころには進行の差こそあれ8割もの人が歯周病を発症します。歯周病は、風邪などと違って自然治癒しません。


その歯周病菌がもとになって生成される「アミロイドβ」が、血管を通じて運ばれて脳内で記憶を司る「海馬(かいば)」を中心に少しずつ溜まっていき、これが、アルツハイマー型認知症を発症させたり、悪化させたりする原因となることがわかっています。ちなみに、アミロイドβが脳内に溜まって認知症を発症するまでには、25年ほどかかると言われています。

また、歯周病菌が出す毒素の影響でつくられる炎症物質「サイトカイン」が血管を通じて全身に放出されることにより、インスリンが効きにくくなって「糖尿病」が発症・進行しやすくなります。さらに、動脈の内壁が厚く硬くなって「脳卒中」のリスクを高め、冠動脈が傷んで「心筋梗塞」を起こす一因となるのです。
このほか、高齢者が発症する肺炎の約70%以上といわれる「誤嚥性肺炎」も、歯周病菌が発症リスクを高めることがわかっています。さらに歯周病は、強烈な口臭の原因にもなります。

次に、2番目の「歯を失うことによる脳の血流不足」について解説しましょう。
大人が歯を失う原因の第1位は、むし歯ではなく、歯周病です。ごく軽い炎症から始まる歯周病は痛みもなく、自覚できないまま静かに進行していきます。違和感に気づいて歯科医院に行くころには、すでに歯茎も歯根もボロボロ。そうなると、抜歯しか選択肢がない場合もあるのです。
ですが、歯は、体に思っている以上に全身へ影響を与えています。実は、歯でものを噛むときには、ひと噛みごとに脳に大量の血液が送り込まれています。

歯の下には「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような器官があり、噛むときは、歯がこのクッションに約30ミクロン沈み込みます。そのほんのわずかな圧力で、歯根膜にある血管が圧縮されて、ポンプのように血液を脳に送り込むのです。
その量は、ひと噛みで3.5㎖。市販のお弁当についている、あの小さな魚の形の醤油入れがだいたい3~3.5㎖サイズなので、噛むたびに、あの容器いっぱいの血液をピュッと脳に送り込んでいるということ。ひと噛みでこの量ですから、よく噛む人の脳にはひっきりなしに血液が送り込まれて、その間、常に刺激を受け続けていることになります。つまり、噛めば噛むほど刺激で脳が活性化されて元気になり、どんどん若返るのです。
