診療467日目、体の門番その3

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診療467日目、体の門番その3

2024年4月9日

こんにちは、椎名町駅えがお歯科です。

 

すべての死に至る病は「のど」から始まる

「体の門番」と呼ばれています

誤嚥性肺炎だけじゃない

 

のども「認知症」になる

このほかにも、朝起きると胸焼けがする、上を向いて飲み物を飲むとむせる、大き目の錠剤が飲みづらいといった症状も、典型的な「のど力」の低下を示している。

また、液体のほうが固形物よりも飲み込むのがつらいといったことも、意外な症状のひとつだ。これは、液体のほうがのどを通るスピードが速く、反射が追い付かないためである。

西山耳鼻咽喉科医院院長の西山耕一郎氏は、「のど力」の低下の兆候はやはり食事中に現れることが多いという。

「歯が悪くないのに、食事に30分以上かかるようになったら、嚥下機能の低下を疑うべきです。これは、飲み込むのに時間がかかっているために起こります。

また、食中に咳が出たり、食後に声がガラガラになったり、痰が急に増えた場合も、のどの力が衰えている兆候とみるべきです」

身体的な兆候としてはわかりづらいが、「のど仏が下がってくる」のも見逃してはいけない変化だ。

東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科の二藤隆春氏はこう語る。

「のど仏が下がるのは、喉頭が下がっているということです。つまり、のどをつり上げている筋肉や靭帯が伸びてしまっているということです。

そうすると舌もそれに引っ張られて下がるので、口の中にモノを入れて送り込むときにタイミングが取りにくくなります」

のど力が完全に低下すると、今度は逆にむせなくなったり、咳が出なくなってしまう。誤嚥を防ぐ「せき反射」が起こらなくなるためだ。食事も、お粥のようなとろみのついた食事でなければ、口に運ぶのすら億劫になってしまう。

食事は「飲み込みやすいもの」に限られていくため、噛み切りにくい肉や、骨の多い焼き魚には手が伸びなくなるだろう。そうすると動物性たんぱく質が不足し、身体の筋肉量が減少、運動障害を招くリスクが高まる。

「栄養障害や筋肉量の減少がみられると、サルコペニア(身体機能の低下)の問題が深刻化してきます。

こうして身体を動かさなくなっていくと、今度は認知機能の低下も進み、フレイル(生活機能全般の低下)という状態を招くことになります」(前出・浦長瀬氏)

ものが食べづらくなると、認知症が進み、最終的には寝たきりになってしまう――「のど力」低下がもたらす、つらい結末である。

嚥下障害が進むと、「誤嚥」だけでなく「窒息」を起こすこともある。正常にのどが機能していれば入らないような食べ物が気道をふさぎ、窒息して死に至ることもある。

また、特に高齢者が気をつけなければならないのが「脱水」だ。水でむせがちになると、つい水分補給を控えるようになってしまう。

高齢者が一日に必要な水分摂取量は1500mlと言われているが、嚥下障害により500mlも飲み切れないようになると、脱水症状から脳梗塞、心筋梗塞といった重大疾病を引き起こすリスクが格段に高くなる。

「飲み込む力の衰えは、はっきりと飲み込めなくなるまで、本人も周囲も気づかないまま放置されることがあります。

飲み込むという動作は、身体的には非常に単純で小さな動きです。それゆえ、自分の意思でのどを動かせない、いわば『のど認知症』の人は非常に多い」(前出・浦長瀬氏)

のどが衰えてきていると自覚したら、意識的にのどを使うことを心掛けたい。たとえば、飲み物を飲み込んだら、大きく息を吐きだしてみよう。

これにより、自然と誤嚥を防ぐことができる。いつもより大きな声で笑うだけでもよい。カラオケも効果的だ。

自分ののどはきちんと動くのか。日常生活でチェックするのが大切だ。

 

それは「隠れ誤嚥」ではないですか

あなたも誤嚥している

朝起きると空咳が出たり、のどが渇いたりすることはある。でもそれは年のせいで、食事をしてもむせないし、痰も出ない。夜もぐっすりと寝ているつもりだ。だから、特にのどが弱っているとは思えない。

自分は健康だと信じて疑わない人に、知らず知らずのうちに忍び寄る恐ろしい症状がある。「隠れ誤嚥」だ。

ひとくちに「誤嚥」といっても、2種類のパターンがある。食べ物や飲み物をうまく飲み込めない、本人が自覚できる誤嚥を「顕性誤嚥」という。一方、気づかないうちに唾液や口内の食べかすが気管に入ってしまう誤嚥のことを「不顕性誤嚥」という。

自覚症状があり、周囲も異変に気付くことが多い顕性誤嚥よりも、静かに進行する不顕性誤嚥のほうが深刻な肺炎につながるリスクが高いのだ。

「隠れ誤嚥」がもっとも起こりやすいのは、睡眠中である。寝ているあいだは、気付かないうちに唾液や口の中に残っている食べかすが気管に入ってしまっても、咳などで排出しようとする「せき反射」が起こりづらいのが原因だ。

年齢に関係なく、就寝中にむせたり、咳が出て起きてしまう人がいるが、こうした場合はむしろ防御反応が正常に働いている証拠でもある。ところが年齢を重ねると、せき反射が起こらず、寝ているあいだずっと誤嚥が続いている状態になってしまう。

こうして咳が長く続き、なんとなく風邪が治らないと思っていたら、気づかないうちに誤嚥性肺炎が進行していた、というのが「隠れ誤嚥」の怖さである。

統計上、肺炎で亡くなる人はやはり高齢者に多く、実に95%以上が65歳以上なのだ。

「誤嚥性肺炎は、寝ているあいだに鼻腔や咽頭にもともとある定着菌が気道に落ち込んだり、気道にいる菌が誤嚥を契機に活性化することで起こります。いちばん多いのは、もともと保菌していた肺炎球菌が活性化するものです。

65歳以上の人は、全員が睡眠中に誤嚥をしていると言っても過言ではありません。これは、睡眠中に意識レベルが低下することで、もともと低下しつつある嚥下機能がさらに落ち込むために起こります」(東京医科大学八王子医療センター呼吸器内科教授の寺本信嗣氏)

日常生活に支障はなくても、年齢を重ねれば自分も「隠れ誤嚥」を起こしているかもしれないと疑うのが重要だ。大切なのは、「隠れ誤嚥」自体を防ぐのではなく、肺が細菌感染する体内環境をできるかぎり作らないようにすること。

加齢は、睡眠中の口内環境にも大きく影響する。人間は40代を過ぎると、唾液の分泌量が減って口内が乾きやすくなる。そうすると唾液内の雑菌がどんどん増えていくため、「隠れ誤嚥」で肺炎を引き起こす確率が上昇してしまう。

こうした状況を改善するためには、こまめに水分を摂り、口やのどの乾燥を防ぐ必要がある。

『フケ声がいやなら「声筋」を鍛えなさい』(晶文社)の著書がある、山王病院国際医療福祉大学東京ボイスセンター長の渡邊雄介氏は次のように語る。

「いまの時期は空気が乾燥しています。加齢とともに体内の水分保有量は減ってきますが、これはのども同じです。夏は脱水を意識して水分を摂りますが、より乾燥している冬に水分不足になっている人も多いのです。

のどが渇くと、声帯やのど全体の筋力も衰え、誤嚥性肺炎にかかる確率が上がってしまいます。機械に油を差す感覚だと思って、冬場こそ水分を補給するようにしてください」

いびきは危険なサイン

口内の菌そのものを減らすことも対策の一つ。歯磨きを怠っていると、歯に歯垢(プラーク)が溜まり、固まって歯石となる。

歯垢には、1gあたり1000億個もの細菌が潜んでいると言われ、口腔ケアを怠っていると、それがどんどん口の中で増殖していく。神鋼記念病院耳鼻咽喉科長の浦長瀬昌宏氏はこう語る。

「歯磨きは、誤嚥性肺炎の予防としても重要な役割を果たします。特に寝る前はしっかりと時間をかけて歯を磨くようにしましょう。

ポイントは、食後すぐではなく、10~20分経ってから磨くことです。食後は唾液が多く分泌され、口内の細菌を調整しているからです。

口呼吸で口腔内が乾燥しがちな『ドライマウス』の症状がある人や、細菌の層が舌にこびりつく『舌苔』がみられる人は、細菌が増殖しやすいので特に要注意です」

ちなみに、いびきや逆流性食道炎といった持病がある人は、かなりの確率で「隠れ誤嚥」を起こしていると考えたほうがいい。

これらの持病があり、横向きやうつぶせで寝ている人は、睡眠中に逆流してきた胃酸が気管に入り、炎症を起こすケースが多い。

特に身体の右側を下にして眠っている場合、胃のかたちが変わって胃酸が逆流しやすくなり、咳や胸やけの原因にもなる。とはいえ、あおむけに寝ると口が開き、唾液の誤嚥が起こりがちだ。そのため、「左向き」に寝るのが理想の寝相だといえるだろう。

「むせていなくても、食後に痰が増える、食事を終えるのに時間がかかるようになったといった症状があれば、気づかないうちに誤嚥が進行している可能性があります」(西山耳鼻咽喉科医院院長の西山耕一郎氏)

「のど」が発するサインに敏感になる、これが健康長寿の近道だ。

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